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漢字バトン

 SIGさんからバトンが回ってきたので、答えることに。(笑)


■1.前の人が答えた(まわした)漢字に対して自分が持つイメージは?

 「淫」
 いや、どんな使い方しても「みだら」と言う意味しかないような気もするこの漢字。なんてものをまわしてくれるんだ。(笑)

 「耽」
 この漢字を見ると、少女漫画しか頭に出てこないですねぇ。お耽美お耽美。(笑)

 「姦」
 あまり良いイメージのないこの漢字。いろんな意味で使うだけでセクハラになりそうと言うのが私のイメージでしょうか。


■2.次の人に回す言葉を3つ。

 「公」「民」「政」


■3.大切にしたい言葉を3つ。

 「義」
 義を見てせざるは勇無きなり、と人として大切なことではないでしょうか。

 「夢」
 人が生きていく上で達成するしないは別として、これを持つと言う事は大切なことでしょう。

 「書」
 これについては私が本が好きだ、と言うところが来ています。それと、書が無ければここまで人の文化が発展することはなかったろう、と言う意味も込めてこの言葉を。


■4.漢字のことをどう思う?

 格好のいいもの。
 この一言に尽きます。適度に使うと文章が見やすく格好のいいものになるから皆使う。そういうことです。


■5.最後にあなたの好きな四字熟語を3つ教えてください。

 「威風堂堂」
 こういう風になれたらいいな、と言う夢のある言葉ですね。

 「大願成就」
 夢をかなえることが出来た、と言うのは素晴らしい事です。人生においてこれ以上の喜びはないでしょう。

 「唯一無二」
 こうなれれば幸せですね。おそらくは不可能なことでしょうが。


■6.バトンを回す人とその人をイメージする漢字。

 「水」
 poro、お前だ。(爆)
 いや、大した意味じゃないんですが、弱いのか強いのかわからない。そんな感じです。(謎)

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  1. 2006/02/23(木) 12:28:04|
  2. 日記|
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手のひらの中の奇跡 -リスティ視点 第九話-

 ―4月12日-13日―

 リスティ視点 第九話












 惚けている高町恭也をその場に残し、ボクことリスティ槙原は一路学校へと引き返した。

 彼が出す答えは十中八九OKだろう、それは間違いない。先程彼が見せた体術。あのような歩法ができるとなれば、彼はおそらく何かの武術を修めているはず。それも達人クラスだろう。それならば彼は必ず自分の力で彼女を助けたい、と申し出てくるに違いない。

 ボクは胸元からタバコを取り出そうとした。しかし、ケースの中には何も入っていなかった。


「Shit。丁度きらしてたとこだったんだ」


 ボクは空のケースを握り締め、その場に投げ捨てた。
 吸えないとわかるととたんにタバコを吸いたくなる衝動に侵される。まわりを見渡してもタバコの自販機はどこにも置いていなかった。それもそうだろう、ここは学校の前なのだから。
 衝動をごまかすようにため息をつき、自分の考えに没頭することにした。


 ――これで必要最低限の手駒は揃った訳だが……


 本来ならば春日組へ押し入る、というのは最終手段にしておきたかった。だが、今となっては話が違ってくる。いや、個人的には今の状況でも最終手段に置いておきたいのだが、それでは高町恭也を説得することができない。彼を協力者とする以上、すぐさま春日組に押し入ると言う選択肢が一番初めに来る。それは避けられない事だろう、おそらく。
 では、何故自分の選択肢を消してまで彼を協力者などにしようと考えたのか。自分の都合のいい理由はいくつかボクの頭の中に浮かんでいる、だが本当の理由については実のところよくわかっていない。彼の動きを見た瞬間、ボクの思考の幅が一気に狭まってしまったのだ。


 ――ま、いいさ。選択肢は一つしかないが、何故か悪い気はしないしね。


 春日組に押し入る、と言うならば今日のうちに準備をしておく必要が出てくる。彼が一流のファイターでなかったときのための保険は必要だ。ボクにはその保険のアテは一つしかない。


 ――結局は越野に報告するしかないか……残念だけど。


 あの男に借りは極力作りたくない。とんでもない返しを要求されるやもしれないからだ。しかし、今の状況でそんな事を言っている場合ではない事は確か。


 ――報告がてらに、頼んでみるか。


 高町恭也を協力者とした場合を考えれば考えるだけボクに残された選択肢がどんどん狭まっていくことに自分の性格に反省しつつ、ボクは越野のところへ向かうことにした。
 勿論、帰る用意をしてからであるが。










「なるほど、強制捜査か」


 ボクの報告を聞き終わった越野は難しい顔をして考え込む。その仕草にボクは少し不安になる。協力を得られないのではないか、と。だが、そんなボクの心配はただの杞憂だった。


「よかろう。令状や事後の手続きについてはこちらでやっておく。面倒ごとは嫌いな性質だろう、お前は」


 時間にしてきっかり五秒。それだけ悩んで出した答えがそれだった。ボクは越野のあっさりとした言葉に拍子抜けしてしまった。


「って、そんなに簡単にOKしていいのかい?」

「お前が言い出さなければ俺が言うところだった。それが数日早まっただけのことだ」

「このまま地道に行くという選択肢はなかったのかい?」

「お前がそれを言うか? ま、実のところだな。後数日がリミットだったんだ」


 不適な笑みを浮かべながら越野が妙な事を言う。


「リミット?」

「俺の我慢の限界点だよ」


 その冗談に少し殺意を覚えたのはここでは割愛しておこう。ボクは突っ込みたい気持ちを抑えて、話を先に進めることにした。


「それで少し頼みたいことがあるんだが」

「戦力だな。腕に覚えのある奴を数人用意しておこうか?」

「Thanks。それは助かるよ。それでね、もう一つ聞いておきたい事があるんだ」


 ボクの言葉に越野は疑問のこもった顔をする。もしかすると越野は知っているのではないか、そうボクは思った。


「ボクの方で一人いいのを見つけてね。今回の捜査に協力してもらう事になったんだけどね」

「許可でも欲しいのか? そんなもの好きにすればよかろう」

「わかってて言ってるだろ。あんたがそんな疑問もつ事事態が矛盾だね」

「失礼な」


 腕を組み、笑いながら越野はそう言った。


「ただね、強そうと言うだけで彼がどんな武術を修めているのかわかってなくてね。それであんたなら調べるのも簡単だろう、そんな訳さ」

「人使いの荒い奴だ。まぁ、よかろう。俺の知ってる武術ならすぐ答えられる。言ってみろ」


 ここで越野に借りを作ってしまうのはよろしい事ではないが、これは仕方の無いことだ。相棒の能力くらい知っておかないと作戦もクソも無い、そう思い、ボクは高町恭也の超人的な歩法について越野に語ることにした。


 話が終わると、越野は少し難しい顔をして天井を見上げた。何か思い当たる武術があるのだろうか、そう思ったボクは少し期待を込めて口を開いた。


「何か心当たりあるのかい?」

「――もう一度聞く。本当にそいつの名前は高町なんだな」

「Yes。高町恭也。うちのクラスの生徒だ」

「――高町……」


 数秒ほど部屋に沈黙が訪れた。ボクはそんな空気があまり得意じゃないため、答えを急かした。


「早く答えてくれないか? ボクだって暇じゃないんだ」

「高町士郎と言う男を知っているか?」

「は?」


 突然越野は聞き覚えのない名前を口にした。だがそこで思いとどまる。


「名字が一緒みたいだけど、誰なんだい。その士郎って男は」

「彼の修めた武術は御神流と呼ばれる二刀小太刀を扱う剣術だ。そして彼はその剣術を振るい幾人もの人々をその手で助けた。おそらく、その恭也と言う男は士郎の息子だろう」

「彼もその御神流を修めている可能性が高い訳か。二刀小太刀……また珍しいね。一刀の剣術使いなら身近にいるけど、二刀は初めてだね。それでどうなんだい? 実際どのくらい強いんだ?」

「強いなんてもんじゃない。お前も見たのだろう? その歩法は神速と呼ばれる御神流の奥義の一つだ。いわゆる高速移動術だな。完成された御神の剣士はそれを使い、一瞬で十数人を切り捨てることが可能だ……一瞬でな」

「じゅ……十数人?」

「その恭也と言う男がどれくらい修めているのかしらないが……お前も運がないな」


 ボクは越野の言葉を聞き、少しの間絶句していた。この世にそのような事を可能とする業があることに。そしてボクは思いなおす。


 ――ハハ。ボクが言えた言葉じゃないね。


 ボクの存在も普通に考えればありえない存在。だが事実としてここに存在する。矛盾な存在であるボクが考えた事の矛盾、そう思うと、ボクは耕介と出会った頃のことを思い出した。











 昨日の報告では、結局越野の力を借りて数人の部下をまわしてもらうことになった。後は高町恭也の協力を取り付けるだけ、とボクは何時ものように職員室に居た。時計を見ると一時間目にはまだ早い時間帯だった。
 彼が協力を了承するならばそろそろ来るだろう、とボクは思いここで待っている。


 ――ま、心配ないだろうね。


 ボクは先程買っておいた缶コーヒーのプルタブを開け、それをゆっくりと流し込んだ。暖かく、むしろ熱いとも言えるブラックのコーヒーがボクの口の中に流れ込む。美味いとは思わないがそれでもコーヒーを飲みたい、そんな心境だった。
 職員室の扉の方に視線を向ける。
 予想ではそろそろ来るはずだ、そう思っているとその扉が開き、そこに高町恭也の姿があった。


 ――ビンゴ。


 彼は昨日よりも多少吹っ切れた顔をしていた。決心がついたのだろう、そんな顔だ。彼は数度周りを見渡すとボクの姿を見つけ、こちらの方に歩いてきた。
 ボクはこれから話すべき事実に少し背中が震えた。


 ――でもま、嫌われるのは慣れてるしね。


 そう思わなければ壊れてしまいそうだったから……










「よし、ここならば誰に聞かれる心配もない」


 ボクは彼を人気のいない校舎裏へと案内した。彼は辺りを見渡している。誰もいない事を確認でもしているのだろう。


「で、結局高町くんはどうするつもりだい?」

「それはもう槙原先生にはわかっている事ではないですか?」

「Yes。勿論それは君がボクのところに来た時から気づいていた事だ。でもボクはそれを君の口から聞きたいんだよ」


 ――そう、それは本当。


「わかりました」


 高町くんは目を閉じ、少しうつむく。風に身を任せる彼の表情はこわばったものから、段々と穏やかなものに変わっていく。そして彼はゆっくりと目を開く。その彼の表情には笑顔とも言える程の穏やかな笑みを浮かべていた。


 ――あ、こうす……


 ボクは今考えた事を慌てて消去した。彼と余りに似つかない男の笑顔を思い浮かべてしまったのだ。

 それは彼に対して失礼だ、と考えたのはボクなりの言い訳なのかもしれない。


「俺はあなたに協力します。この手で月村を助けねば俺は一生後悔すると思うから」


 彼は真っ直ぐにボクを見つめながら、そうボクに答えた。こういう所が似ているのかもしれない、そう思わずにはいられなかった。


「Yes。いい返事だ。では協力して行こう」


 ボクは今の心境を悟られないように頭に手を当て、彼に対して一つウインクをする。彼は少し驚いた表情を見せるが、すぐ何時もの仏頂面に戻った。
 そんな彼にボクは協力する上で最低限譲れないことについて話すことにした。


「そうだね。犯人を捕まえる段取りは後にして、まず君に言っておきたい事がある」

「――言っておきたいこと?」

「あぁ、そうだ。これから協力する上で面倒なことはなるべく排除しておきたい。つまりだね、ボクは君の事をこれから恭也と呼ぶ。だから君もボクの事をそんな堅苦しい呼び方じゃなくリスティと呼ぶように」

「あ、いや、それは」


 流石に無茶な事かもしれないが、これだけは譲る訳にはいかない。
 ボクは下から覗き込むような格好で彼に囁きかけた。


「何か文句でもあるのかい?」

「いや、俺自身が呼び捨てにされるのは全く問題ないのですが……俺が槙原先生を呼び捨てにすると言うのは」

「ボクが構わないって言ってるだろう? ほら、呼び捨てで呼んでみてくれよ、恭也」

「いや……その……」

「ほらほら」


 彼は困った表情を浮かべ、のけぞるような格好を取る。少しイジメすぎかな、とは思うが引くわけにはいかない。


「で、では。リスティ……さん」


 そんな格好で、そんな無粋な敬称で呼ばれるのだった。


「む。まぁ、いいか。一歩先に進んだと思えば上等だ」


 そう思わないと何時までたっても話が先に進みそうに無かった。


「で、ですね。月村を助ける上の作戦などは?」


 ――来たか。


 ボクはこれから彼に対して少し残酷なことを言わねばならない。小の残酷には気づくだろうが、大の残酷にはおそらく気がつかない、そうボクは考えていた。


「恭也。これから作戦について説明をするけど、もう一つ君に言っておきたい事がある」

「もう一つ?」


 恭也はボクの言葉で今度は冗談でもなんでもない重要な忠告と悟ったらしい。ボクは一度空を見上げ、気持ちを整理する。そしてボクは心を冷たくし、口を開くことにした。


「――君は人を殺した事はあるかい?」














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  1. 2006/02/20(月) 15:55:00|
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手のひらの中の奇跡 -恭也視点 第七話-

 ―4月13日―

 恭也視点 第七話










「――いただきます」


 もう少し寝ていたいだろうに、朝早くから起きて何時も朝食を作ってくれる晶とレンに心の中で礼を言い、俺はふんわりとした玉子焼きに箸を伸ばした。玉子焼きの端を少し切り取ると、外から見たとおりのふんわりとした香りと湯気が断面から沸き立った。
 俺は少し笑うとそれを口の中に放り込んだ。予想よりも美味しい出来に、俺は少し感嘆した。


「ほう……」

「……師匠?」


 俺のリアクションに少し不安そうな顔で晶が問いかけてきた――なるほど、やはりこの玉子焼きは晶が作ったんだな。


「腕を上げたな」

「やった!」


 俺の言葉に晶は拳を握り締めてガッツポーズをした。


「恭也の言う通りよ。晶ちゃん、上達したわね」

「うん。おいしーよ。晶ちゃん」

「はは……そんなに褒められると照れちゃうな」


 そして何時ものようにそんな晶にレンの悪口が飛び、何時ものように二人のケンカが始まる。そして何時ものようにしばらく続いたそのケンカはなのはの一喝で収まる――そう……何時ものように今日この一日が始まった。俺を渦巻く日常は何時ものように時計の針を進めていく。
 だが、俺は何時もの日常に溶け込むようなことなど到底できそうになかった。


 ――月村……


 緩やかな時の流れに逆らってまで俺は駆け抜けるも、月村には後一歩届かなかった。俺はその場で一番近くに居た月村を守ることができなかった。
 人は失ってから初めて気づく事がある。俺は月村に……


「うっせーな、カメ。じゃあ勝負すっか?」

「じょーとーやないか。うちがおさるに負けるわけあらへん」


 収まったはずの二人のケンカが何かをきっかけに再び勃発する。これも何時もの日常である。


 ――槙原先生に協力すれば月村を助けることができるのではないか。


 あの先生の実力自体は俺の目からでは一般人より少し秀でているだけにしか見えない。確か山根さんがHGSとか言っていたが、それが彼女の腕に関係しているのだろう。何か特殊技能の類なのであろうか。それならば協力する価値はある。ここで槙原先生の言葉を断っても何も得は生まれぬ。


 ――そう。結局は彼女の要請を受け入れる他、俺には存在しないのだ。


 最初から選択肢など無かった事に気づいた俺は自らをごまかすように何時もより熱めのお茶を手に取り、ゆっくりと喉に流し込んだ。その時、やっとかーさんの視線が俺に向けられていることに気がついた。


「恭也? なにかあったの?」


 他の誰も気づかなかった事をあっさりと見抜いたその眼力。やはり親というものはたいしたものだ、と改めて考えさせられる。
 俺はかーさんになるべく心配をかけぬよう、何時ものように無表情な顔――何時もやっている事だ、問題ない――でお茶を一口すすった。


「少し寝覚めの悪い夢を見て……ただそれだけだよ」

「そう。ならいいんだけど」


 おそらくこれが嘘だとは見抜いているのだろう。しかし、かーさんは納得をした振りをしてくれた。この人には一生頭が上がらないな。


「恭ちゃんが夢でうなされるなんて、珍しい事もあるもんだね」

「み、美由希ちゃん……?」

「ん? 晶どうしたの?」


 馬鹿弟子は己の失態に全く気がついていない。優しい晶の心遣いも水の泡である。


「――つまらん事を言っている暇があったら、さっさと飯を食え」

「え、え? 恭ちゃん、ちょっと怒ってない? どして?」


 察しの悪い馬鹿弟子を持つと苦労をする。今夜の訓練は少しハードにすることに決まった。
 俺は残りのご飯を全てたいらげ、お茶で流し込んだ。


「ご馳走様。今日も美味かった」

「あ、お粗末様です」


 椅子を引いて立ち上がり、鞄を取りに自分の部屋に向かうことにした。


「あ、恭ちゃん。ちょっと待ってよ」

「待たん。遅刻ならば一人で味わうんだな」


 俺へちょっかいを出したせいで全く飯が進んでいない美由希を無視し、俺はその場から立ち去った。背後から美由希の泣きそうな声と、なのはのごちそうさま、と言う声が俺の耳に届いてきたことに俺はため息をつかざるを得なかった。











 何時もの風景がどこか色褪せて見える。おそらくは気分的な問題なのだろうが、わかっていても憂鬱なのは変わらない。何時ものように俺は教室の扉を開けた。
 中には数名のクラスメイトがいて、その中に赤星も含まれていた。赤星は入ってきた俺に気がついていないのか、自分の席でじっとうなだれたままだった。俺は赤星の姿を少し不思議に感じたが、その原因にすぐ思い当たり自分の席に向かった。自分の席に鞄を置き、俺は赤星の席に近づいた。近くまで寄ったところでようやく俺に気がついたらしく、何時もより冴えない笑顔で挨拶をしてきた。


「よう、高町。今日は早いんだな」

「あぁ」


 赤星と目が合ったまま数秒間の沈黙が訪れた。やはり赤星は月村のことを知っているのだ。


「――職員室に行って来る」

「あぁ……そうか。遅刻しないようにな」

「心得た」


 その言葉だけで俺たちの間では十分だった。お互いに昨日の出来事は知っている、と言う意見交換ができたのだ。もしかすると俺が職員室に行く理由も感づいているのかもしれない。


 ――なるべくなら、赤星を巻き込まないように……


 職員室へと向かう足を止める。事件を知っている赤星を俺の決心に巻き込まないようにする。これは少し骨のいる作業だ。そこそこ付き合いの長い奴だ。下手をすれば俺のやらんとしている事に感づいているのかもしれない。これは難しい……月村の事だけでなく、周りの事まで考えねばならない。これは思ったより大変なことだ。
 俺は再び職員室へ足を進めることにした。










 職員室の前は今出勤してきた教師や日誌を取りに来た生徒で群れていた。俺は少しその状況に足を止めるも、すぐに思い直し、日誌を取りに来た下級生の子が出てくるのを見計らって職員室の扉を潜り抜けた。
 中は何時ものように教師の姿が沢山あって、どこか居心地の悪い雰囲気も何時も通りだった。俺は辺りを見渡し、槙原先生の姿を探す。おそらくは三年の先生たちの集まる机の一角だろう、と当たりをつけ、そこを探してみると案の定、元々沢田先生が居た机に槙原先生が座っていた。槙原先生は椅子にもたれながら何か書類のようなものを難しい顔で見ていた。少し内容が気になったが、尋ねてもおそらく教えてくれそうにもないのでつとめて気にしない事にした。
 そして、俺は一つ会釈をしてから槙原先生の下へ近づいた。


「槙原先生」

「ん? お、高町くんか。ボクを尋ねてきたってことは、昨日のことだね?」

「はい」


 槙原先生は俺の出した結論をまるで見抜いているかのような笑顔を俺に見せた。


「さて、ここじゃその話はマズいな。ちょっと表に行こうか」


 そう言うと槙原先生は椅子から立ち上がり、俺を首でついて来いと促した。俺は当然それに逆らうはずもなく、槙原先生の後に着いて行くことにした。













「よし、ここならば誰に聞かれる心配もない」


 槙原先生は俺を校舎裏へと案内した。少し肌寒い感じのする場所だが、こういう話をするにはもってこいの場所だ。


「で、結局高町くんはどうするつもりだい?」

「それはもう槙原先生にはわかっている事ではないですか?」

「Yes。勿論それは君がボクのところに来た時から気づいていた事だ。でもボクはそれを君の口から聞きたいんだよ」


 彼女は腕を軽く組み、俺を促すような綺麗な笑みを浮かべた。


「わかりました」


 ゆるやかな風が吹く。その風は木々を揺らし、俺たちの髪の毛もさわさわと揺らしてくれる。それはこれからの俺にとって、少し暖かなものに感じられた。少し不謹慎だと自分でも思うものの、槙原先生の前に立つと自分の心が癒されていくように……


「俺はあなたに協力します。この手で月村を助けねば俺は一生後悔すると思うから」

「Yes。いい返事だ。では協力して行こう」


 槙原先生は頭に手を当て、俺に対して一つウィンクをした。やはり俺が出す答えを見抜いていたのだ。


「そうだね。犯人を捕まえる段取りは後にして、まず君に言っておきたい事がある」

「――言っておきたいこと?」

「あぁ、そうだ。これから協力する上で面倒なことはなるべく排除しておきたい。つまりだね、ボクは君の事をこれから恭也と呼ぶ。だから君もボクの事をそんな堅苦しい呼び方じゃなくリスティと呼ぶように」

「あ、いや、それは」


 年上の教師に向かって呼び捨てにしろと言うのは流石に無茶を言う、俺はその時そんな当然のことを思っていた。


「何か文句でもあるのかい?」

「いや、俺自身が呼び捨てにされるのは全く問題ないのですが……俺が槙原先生を呼び捨てにすると言うのは」

「ボクが構わないって言ってるだろう? ほら、呼び捨てで呼んでみてくれよ、恭也」

「いや……その……」


 笑みを浮かべた槙原先生が俺の顔を覗き込むように下から見る。俺は自然とのけぞるような格好になる。


「ほらほら」


 実に楽しそうな笑みを浮かべて槙原先生は俺を促す。


「で、では。リスティ……さん」

「む。まぁ、いいか。一歩先に進んだと思えば上等だ」


 楽しそうな笑みを仏頂面に変えてリスティさんはそんな事を言った。


「で、ですね。月村を助ける上の作戦などは?」


 その瞬間、周りの空気が張り詰めた。リスティさんの顔が先程の仏頂面ではなく、かなり真面目な顔へと変わっていた。


「恭也。これから作戦について説明をするけど、もう一つ君に言っておきたい事がある」

「もう一つ?」


 リスティさんは俺に対して背を向けるような格好で空を見上げた。これから紡ぎ出される言葉をなるべくなら言いたくない、と表しているかのように。


「――君は人を殺した事はあるかい?」


 俺は一瞬彼女が何を言っているのかが、理解できていなかった。












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  1. 2006/02/06(月) 12:52:12|
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