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Blue Moon 第10話

 それは夕食の時だった。
 今日は久しぶりに月村を家に招いての食事だ。かーさんやフィアッセもにぎやかになる、と言う事で喜んで了承してくれた。
 明日は休日ということで、忍ちゃんを家に泊まらせるように、とのかーさんからのお達しだ。それを聴いた俺は、今夜の夕食の後に酒が出そうな予感がしていた。その事には少し憂鬱であったが、月村が泊まっていくのには俺も依存はない――むしろ、嬉しくもあったのだ。










Blue Moon 第10話










「忍ちゃん、今日は久しぶりに桃子さんが腕を振るうから、期待しててね」

「あ、今日はありがとうございます。何かちょっと悪い気がしますけど」

「いいのいいの。食べる人が増えた方が、料理人冥利に尽きるってもんよ」


 そんな月村の遠慮を否定するかのように、笑いながらかーさんは言った。


「かーさんの言う通りだ。遠慮することはない」


 かーさんの気配が遠ざかったところで俺はそう言った。かーさんは鋭い。あまり俺が月村に話しかけているところを見られたくなかったからだ。


「うん。でも、やっぱりちょっと遠慮しちゃうよ」

「気にするな。赤星もよく食べに来る。それに月村も何度も来ているだろう。これからもその度に遠慮してたら疲れるだろうし、友達ならば当然のことだ」


 そういうと、月村は少し顔を紅くして笑顔で頷いてきた。
 友達と言う、自分で言った言葉に少し後悔をする。友達と認めてくれた事には素直に嬉しかったのだが、それは逆にそれ以上を期待するな、と言うことに繋がるような気がしたからだ。
 それが俺の思い過ごしなのだろう、とは思うし、それこそが自惚れなのかもしれない、とも思う。
 しかしまいったな、俺がこんな事で動揺するとは。赤星に対して人の事はいえない立場になってしまったではないか。


「高町くん、どうしたの?」


 小首を傾げてそう月村が聞いてきた。その姿に少し頬に熱を感じたのは気のせいであって欲しい。


「いや、気にするな。もうすぐ飯だ。台所に向かうとしよう」


 月村に背を向け、俺はそう言うと月村を促すように歩き出した。これ以上月村の顔を見ていられなかったし、なるべく早く沈めなければ、かーさんたちに気づかれてしまう恐れがあったからだ。










「じゃあ、忍ちゃん。一杯食べてってね」

「はい、ありがとうございます」


 そうして、夕食が始まった。月村一人が増えただけで何時もよりにぎやかになり、そして俺も何時もより箸が進んでいるような気がしていた。
 そしてそのまま10数分くらい過ぎた時の事だった。


「そういえば恭也。稔はどうしてるの? 元気してる?」

「ん、あぁ、何時も通りだぞ。特に変わった様子はない」

「そういえば、今日昼休みから姿を全く見なかったけど、どうしたのかな?」


 月村が妙な事を口にした。
 確かに昼休みは晶の所に用事があって出かけたようだが、その後の授業で顔をあわせているだろう。では、何故月村はそんな事を言ったのか。それが気になり尋ねてみることにした。


「月村。どういうことだ? 確かに昼休みは出かけたようだが、その後授業中に顔をあわせているだろう」


 俺がそういうと、月村は大げさな仕草をしてみせ苦笑した。


「高町くん。あなたは昼休みの終わりあたりから放課後までずっと寝てたでしょう? そんな事だと卒業できないよ?」


 月村がそういうと、皆が俺を非難の篭った目で見ていた。特にかーさんやフィアッセの目が怖い。
 その後、かーさんたちを納得させるのに10数分時間を要したことは語るまでもないだろう。
 そして先ほど気になったことをもう一度月村に尋ねてみると、安田は午後の授業には出ていなかった、という事がわかった。午後の授業をサボらなければいけない程重要なことがあったのだろうか。


「月村、席が前と後ろのよしみで何か安田の事を知らないか? 朝、安田と話し込んでいただろう。その時、授業をサボるくらい重要な理由を聴いていなかったか?」

「んー、そだね――確か、晶の所に用事があった、ってのを聴いたよ」


 月村がそういうと、皆の視線が一斉に晶に注がれた。そのせいか、晶は飯を喉に詰まらせ、むせこんでしまった。その姿に隣に座っていたなのはが慌てて麦茶を渡すと、それを受け取った晶は一気飲みをした。すると、詰まっていたのが取れたらしく、少し涙目で大きな息を吐いていた。
 その姿に少し心配をした俺は、大丈夫か、と問いかけてみた。


「は、はい。何とか、大丈夫です」

「ほんま、お猿は慌てもんやな。もっとウチみたいにお淑やかにせんとあかんで?」

「うるさい、カメ」

「なんやと!」


 ちょっとした事でケンカをし始める二人。
 もう少し仲良くならんのか。
 まぁ、そんな事よりも今は安田の件が気になる――そう思った俺は、何時もはなのはに任せていた仲裁役を買って出ることにした。


「二人とも、つまらない事でケンカをするのは止めてくれ」

「ですが、師匠! もう我慢の限界です。きっちり決着つけて、このカメに灸を据えないことには、おちおちご飯も食べてられません!」

「そうです。これはお師匠の頼みでも引けません。このお猿だけはもうウチの手で始末せんことには、我慢できません」


 俺の言葉を無視して更にヒートアップする二人。仕舞いには二人とも席を立ち、庭で決着をつけよう、と言い出す始末。その二人の姿に、月村を含めおろおろする家族たち。仲裁役のなのはでさえ、二人の姿に口を挟めないでいる。
 そこで俺はと言うと、確かに二人の身も心配であるが、それ以上に今日は安田のことが気になっていた。何故こんなにまで安田のことが気になっているのか。その時の俺はまだ、その理由がわからなかった。
 そして、何故か俺は腹を立てていた。早く知りたい、早く安心したい――そんな気持ちで一杯だった。


「美由希。少しの間、なのはが俺の方を見ないようにしてくれるか?」

「も、もしかして恭ちゃん。う、うん、わかった」


 俺が今からすることに気が付いたのだろう。美由希は素直に頷いて立ち上がった。そしてなのはを抱きしめ、俺の方を見ないようにしてくれた。
 そして月村の方を見た。月村にも言っておこうとしたが、今この言葉を月村に言ったら、その内俺が後悔する。そう思った俺は月村には何も言わないことにし、年長者二人の方に目を向けた。


「恭也。わたしとしては助かるけど、あんまりやりすぎちゃダメよ」

「桃子の言う通り、フィアッセからもお願いだよ」


 年長者二人の助言に素直に頷いた。
 二人は何か勘違いしているようだが、別に俺は二人を暴力で諫めよう、とか思った訳じゃない。幾ら腹が立っている、と言ってもそこまでするつもりはない。守るべき相手をこの俺が手にかけては本末転倒だ。
 では、どのように止めるのか――ただ、少し驚いてもらうだけだ。彼女らならすぐに正気を取り戻してくれるだろう。

 そして二人の方に目を向けてみると、彼女たちはすでに庭に出ていた。二人ともまっすぐな闘気をぶつけ合い、お互いを牽制しあっている。
 ―― 一触即発。まさにそのような状況だった。
 俺はそんな二人のまっすぐな闘気に少し自嘲をした。開け放たれたベランダへの出口からは、緩やかで優しい風が吹きこんでいた。その風に身を委ね、少しの間目を閉じる。


 ――想像しろ。
 一つ、頭の中に一つの刃を思い描く。

 ――想像しろ。
 一つ、黒い霧が俺を覆っていく。

 ――想像しろ。
 一つ、おそらくそれは己への啓示か。

 ――想像しろ。
 一つ、きらめく刃は妖艶なまでに美しく。

 ――想像しろ。
 一つ、それは破壊の象徴か。

 ――想像しろ。
 一つ、これが最後の境界線。

 ――想像しろ。
 一つ、それを越えれば羅刹とならん。

 ――ならばこそ、俺は剣と共にあろう!!


 目を開いた。飛び込んできたのは、お互いに殴り合おうとした姿。だが、何時まで待っても二人は殴りあうことはなかった。その事実に少し安堵すると、食事を再開する為に食卓についた。
 周りを見回すと、皆俺の方を見ていた。それは畏怖ではなく、疑問のこもった眼差しだ。どうやら、成功したようだ。あまり経験が無かったので失敗した時のことを考えていたが、それは杞憂だったようだ。なのはへの保険もいらなかったな。


「どうした? 皆、飯を食わないのか?」

「って、恭也。一体何したの? こんな離れた場所から二人を止めるなんて」

「そうだよ。それを教えて欲しいな」


 年長者二人の言葉は当然の疑問だ。しかし俺は美由希に牽制の視線を送ると、さてな、とごまかすことにした。


「まぁ、いいわ。晶ちゃん! レンちゃん! ご飯冷めちゃうからさっさと食べましょ!」


 そうして夕食が再開した。
 そして先ほどから気になっていた安田のことを尋ねることにした。


「で、晶。安田が昼休み、お前のところに用事があったそうなんだが、何か知らないか? 安田がなんで午後の授業をサボったのか、を」

「え、えっと――そうですね、確かに稔先輩は昼休み俺のところに来ました。その時俺はみずのたちと丁度昼飯食ってたとこだったんです。稔先輩が言うには、同じクラスに、えっと誰だったかな。名前は覚えてないんですけど、人探しだったみたいです」


 少し思いだすような仕草をして晶はそう言った。


「で、その後安田はどうしたんだ?」

「えぇ、俺が知らないって言ったら、何か他にアテがあるらしくて、教室を急いで出て行きましたよ。その後の事は知らないです」


 晶の言葉を聴いて、少しそのことについて考えてみる――安田が人探し。それも晶に聞いたという事は、海中の生徒なのだろうか。転校してきたばかりの安田が何の為に人探しをしていたのか。


「ん、何か変な話だよね」


 そんな時、月村が俺の方を見ながらそんな言葉を口にした。


「月村、何が変な話なんだ?」

「だってさ、晶に用事があって昼休みにわざわざ海中まで行ったんだよ? その用事が人探しなら、絶対晶が知ってるはず人間でしょ。でも晶が知らなかった、という事は何でだろうね」


 ――そういえばそうだ。確かにそういう疑問にたどり着く。
 人探しの為に、"わざわざ"海中まで行き、"わざわざ"晶に探し人について尋ねた。ということは、晶が知ってないとおかしい人間のはずだ。
 考えれば考える程頭が混乱していく。体ばかり鍛えずに、もう少し頭も鍛えておくべきだったか。

 そんな時だった。晶の口から思わぬ言葉を聴く事ができたのは。


「そういえばですね。稔先輩が帰った後、どうにも不思議なことがあったんですよ。何故か俺の買ってきたパンが一つ無くなってたんです」


 ――何?


「みずのたちには、俺のことだから食欲ありすぎて食べたの忘れたんだろう、とかからかわれましたけど」


 ――ちょっと待て。


「それはその人たちのいう通りやな。お猿のことや、食べたん忘れたんか、落としたんかどっちかやろ」

「お前は黙ってろ、カメ」


 ――それは一体どういうことだ?


「へぇ、変なことも起こるもんね」

「晶。もし落としたんだったら勿体ない事したね」


 ――偶然という可能性もある。

 馬鹿を言うな高町恭也。偶然が三度続けば、それはもはや必然だ。そんな事も理解できないのか。
 これは最後の警報だ。もはや無視できない状況だぞ。明日、学校に着いたらすぐに確かめるべきだ。もう遠慮している場合じゃない。友達だから、と甘い考えは捨てろ。










 ――安田、お前は一体何者なんだ。











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――あとがき――
 第10話お付き合い頂きありがとうございました。
 いよいよ話が佳境に入ってまいりました。もともと10話で終わらせる予定だったんですけどねぇ。(苦笑)

 では、第11話でお会いしましょう。
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  1. 2005/06/04(土) 23:47:00|
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