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She led to wide-scale bloodshed. -第1部- 第4話

「何を言っているのですか! あのレイ様が、そのような事をなさるはずがないでしょう!」


 少し怒気の篭った声が部屋中に響き渡った。
 事件の起こった次の朝、騒がしいのは城内の一部だけに留まらず、神話の時代より語り継がれてきた英雄たちが凌ぎを削ったとされる、ここ円卓の間でもそれは変わらなかった。
 かの英雄、円卓の騎士「ラーンスロット」と並ぶだけの腕を持つと評される騎士――ブルー=C=ドレイフォードは立ち上がり、目の前に座っている騎士たちを睨んでいた。
 睨まれた騎士たちは、その鋭い眼光にそのほとんどの騎士が視線を逸らし、あらぬ方向へと向いていた。だが、ただ一人視線を逸らさず、じっと彼の目を睨んでいた男がいた。

 眉のひそめられたその顔は、騎士と言うより歴戦の傭兵を思わせる男らしい顔で、椅子から伸びる足は服の上からわかるくらいに筋肉が張っていた。それでいて他の人間より長く見える辺り、身長はブルーと同じくらいか、もしかするとそれ以上かもしれなかった。そして、彼の最大の特徴だが、右肩から先にあるべきモノが何故か存在しなかった。
 それが、ブルーが騎士団に入るまで次期団長候補とされていた、騎士ニック=マスターニであった。

 彼はブルーのように誠実という訳でもなく、団長のように聡明と言う訳でもない。ただ強かったのだ。「リング12」に加入した頃、その強さは団長に肩を並べる程で、彼の左右の手から繰り出される二本の刃から「双頭龍」と呼ばれた事もあった。
 しかし、彼は数年前のポラリスの事件――これについては、いずれ詳しく話すつもりであるが、その事件の際に彼は利き腕を失った。
 利き腕を失って何故未だ騎士団にいるのか、とお思いであろう。ここが彼の凄いところだった。「双頭龍」と呼ばれた頃の強さは失ったものの、残った左手一本で彼は、団長を除いた「リング12」に所属する騎士たちに1対1で勝利してみせたのだ。「リング12」は1人で100人もの敵を相手にできる騎士たちで構成された近衛騎士団、と言えばその強さがよくわかるだろうか。


「確かに、あいつが殺ったという証拠はないな。だが、それは貴公も同様だろう。違うかな? 騎士ラーンスロットよ」


 ニックはブルーの眼を真正面から睨み返し、そう言った。するとブルーは言い返す言葉がなく、ただただ睨み返すだけだった。そして、彼の手元では握りこまれた拳が小刻みに震えていた。それを見とめた片腕の騎士は薄く笑みを浮かべるのだった。










She led to wide-scale bloodshed. -第1部- 第4話










 さて、もうおわかりであろうが、騎士ニック=マスターニはブルーの事を嫌っている。それはつまりブルーに次期団長と言う地位を奪われたから、という理由にほかならぬ訳であるが。
 しかし、ニックの気持ちもわからないではない、と思うのは私だけであろうか。もしそうであるのならニックではなく私の事だけを笑って欲しい。私と違って、彼は真摯なのだから。


「まぁそう睨むな、ブルー。半分は冗談だ。今のはただの可能性の話で、俺も信じている訳じゃない」


 長い足を組みなおし、ブルーの顔をじっと見据えながらそう言った。うってかわったように全く逆の意見を言うニックに、ブルーは怪訝そうな顔をした。


「俺はヤツの実力をこの眼で見た事がない。だからこそ言える事なのだが、ヤツがクラスSの実力者だと言うことを全く信じちゃいない」

「ニック殿。何故そのような――」


 左隣に座っていた騎士が裏切られたような顔をしながらそう呟いた。二人のにらみ合いに萎縮していた他の騎士たちも、その呟きで心を取り戻し、少しざわめき始めた。


「考えてもみろ。クラスSだという事はだ、神にも匹敵する力を持っていると言う事になる。それが武術ではなく魔術だと言うならば尚更だ。あの女の唱えるそれは魔術であって魔術ではない。それは奇跡と表現すべきモノではないのか。となると、つまりだ。彼女は人であって人でない何か別の存在ではないのか。そうは考えられないかな?」


 何時もならば、二人のいざこざを見ると真っ先に注意していた団長は、その時何も口にしなかった。
 そうなのだ。団長は知って見逃したのではなく、ニックの言葉に思うところがあったのだ。レイに対して、そのような可能性がある事を完全に失念していたのだ。

 彼のような人間にも、自身が近衛騎士団団長と言う自分の地位に対するプライドと、「ガラハッド」と言う帝国騎士団最高の栄誉を手にした事実に絶対的な自信があった。
 性格的なものも要因だが、だからこそ彼はレイと対面した時にそれ程の動揺を感じていなかった。レイの力を間違った方向に進まぬように導いてやろう、とも思っていたのだろう。
 ニックの唱えた可能性に、団長は心を囚われていた。だからこそ、団長は彼らのいざこざに口を挟もうとはしなかった。いや、できなかったのだ。
 彼もまた、ニックと同様に真摯で在りすぎたのだ。

 しかし時間は団長を待ってはくれなかった。無慈悲にも彼の知らぬ所で話が進んで行く。周りに居た騎士たちも、ニックの言葉に心を奪われ、団長の事に気づく者はただの一人としていなかった。

「だからこそ、俺はその事実を信じちゃいない。まぁ、勿論可能性の話であるから、これが絶対と言う訳でもないがな」


 ニックはそう言うと、その鋭い目で皆を見回した。先ほどからずっと彼を睨んでいたブルーを除くと、皆が彼の方見ようとはせず、その視線は誰もが宙を彷徨っていた。
 何を思ったのか、ニックは一瞬唇の片側を上げた。


「そこで先程の話に戻る訳だが。今日の議題は昨日の事件について犯人を見つけるモノではなかったはずだ。ただ、どう対策をとるか、だ。そこで俺の意見を言わせて貰えるならば、俺の意見はこうだ」


 ニックの言葉に再び静まり返る騎士たち。


「対策等不要だ。俺たちには帝国最強と言う肩書きがあるだろう。それを腐らせるのは惜しくはないか?」


 そう締めくくったニックの言葉は、皆に様々な思いを抱かせるに十分だった。










「国王陛下。貴方も存外に小心者ですね。もう手駒はそろっているのではないですか」


 女としては低く、少しかすれた声が部屋中に響き渡った。
 その部屋は机の上に小さな明かりがあるだけで、数歩先のモノですら確認ができない程暗い場所だった。


「――ん、何時の間に。この俺に気配を悟らせんとは流石だな」


 国王と呼ばれるにはまだ若い男の声が聞こえた。机の前に座っていたせいか全く姿の見えない女と違い、国王と呼ばれた男の姿は確認できた。
 背丈は座っているせいか確認はできないが、座高から考えるとかなりの身長のようだ。そして容貌は決して美形という訳ではないが、強く意思の通った精悍な顔立ちをしていた。


「何事も慎重に、石橋を叩いて渡るくらいが丁度いい。と言いたいが、確かにお前の言う通りやもしれぬな」

「そうでしょう。陛下、そろそろ動くべきではないですか? それとも、その手で全てを掴んで来た陛下ともあろうお方が、それ程までにザールが――いえ、かの近衛騎士団が恐ろしいのですか?」

 女が何処からからそう答えると、男は思案するかのように腕を組んだ。肘元で捲り上げられた服は、この暗闇でもそれとわかるくらいに値が張りそうなモノで、その服から伸びている腕には無数の傷痕が残っており、それが歴戦を勝ち抜いてきた証拠だ、と言い表しているようだった。


「どうしました? まさか、本当だと言うのではないでしょうね?」


 ただでさえ低かった声が、怒気により更に低い声となっていた。その声を聴いた男は、明かりの下で豪快に笑いだした。
 何を馬鹿なことを。そういう笑いだった。


「失礼しました。では、そういう事でよろしいのですね?」

「そうだな、戦は大将首を取れば勝ちだと言う。確認しておこう。敵大将首は槍鬼に間違いないか?」


 その声に女は何も言葉を返さなかった。


「ふ、ふはははははは!! そいつは楽しみだ。次の戦、俺自ら出るぞ。いいな?」

「それでこそ陛下です。では、私は精一杯サポートさせていただきます」


 夜空に浮かぶ月は時に安らぎを与えてくれる。だが、この日の夜空は厚い雲で覆われていて、月の姿はどこにも確認できなかった。それはまるで、何かを暗示しているかのように――











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――あとがき――
 第4話いかがでしたでしょうか。
 ようやく敵勢力の姿が現れましたね。今日の少ない出番で彼の人となりが気に入った方は期待してもいいかもしれませんね。

 では、次は第5話でお会いしましょう。
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  1. 2005/06/10(金) 09:59:57|
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霧城昂

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