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Blue Moon 第11話

 ――急げ、もっと早く。
 段々、自分の足が速まっている事がわかった。

 ――早く確かめなければ。
 学校に近づくにつれ、自身の動悸も速まっている事がわかった。

 俺は今、何時もより数十分早い時間に家を出発し、学校に向かっている。
 勿論、昨日の晶の言葉が気になったからだ。あいつには無視することのできない、何か秘密が隠されている。だからこそ、早く早く確かめる為に、俺はこんな時間に何時もの道を疾走している。
 勿論、何時もより早く着こうが、何時もと同じ時間に着こうが、ヤツがまだ登校していない限り、この俺の行動が全くの無駄になる、という事は重々承知済みだ。そんな事はすでにわかっている事だ。

 ――では、何故急いでいるのか。
 それは簡単だ。
 ただただ、自身のヤツに対する衝動を押さえきれなかっただけだ。他の何か別の理由等、ハナから存在してなかった、と言っていいだろう。
 笑わば笑え。
 この行動に何の意味は無くとも、俺は決して間違った事をしていないと信じている。
 何かあってからじゃ、遅いのだ。

 学校までは未だ幾ばくかの距離がある。この距離がどうしようもなくもどかしい。
 息が切れ、動悸も更に速まってきた。普段ではこの程度の距離、何でもないはずだったのだがな。

 十数m先に見える信号が赤になった。一拍遅れて、それに続く車の群れ。
 仕方なく、俺はそこで立ち止まる事にした。すると、先程まで全く気にならなかった膝の痛みが、突然悲鳴をあげ始めた。
 ずきずきと痛む膝はまるで俺に、これ以上走るな、意味などなかろう、等と大声で警告しているかのようだった。

 近い内に病院に向かわねばならないかもしれないな。
 そんな事を考えている内に、目の前には先程まで流れていた車の群れが、突然いなくなっていた。
 信号に目を向けると、それは自身を紅く光らせ、無駄な警告を俺に向けて発していた。
 今の俺にはそんなモノを待っている余裕はなかった。そして、俺はそのまま道路に足を踏み出したのだった。










Blue Moon 第11話










 教室の扉を勢い良く開いた。何時もより早かったせいか、教室の中には誰もいなかった。
 俺はその事実に少し落胆はしたものの、何を馬鹿な、当たり前の事ではないか、と思いなおし、ヤツが来るまで自分の席で待つことにした。

 誰もいない、と言う事を除けば、何時もと違わないはずの教室を、自分の席から見渡してみる。すると、誰もいないだけでこうも変わるのだな、と改めて思わされた。
 視界を遮るものは何も無く、少し薄暗い教室は俺にしばしの時を与えてくれるようだ。
 そのような暇ができるのも、まぁ当たり前といえば当たり前の事なんだが。





 思えば、俺は何時もそうだったのではなかろうか。

 ――例えばあの時。
 父さんが死んですぐの時。
 父さんとの約束の為、美由希との約束の為、そして家族を守る為、自らの鍛錬に明け暮れていた時。

 ――例えばあの時。
 事故の後、何とか治りそうだと言われた時。
 安む間も無く鍛錬を続け、武者修行へと出発したあの時。

 俺には何度も振り返る機会があったのではないだろうか。
 俺は何時も何時も急ぎすぎ、その結果大きな失敗を起こして後悔し続けてきた――あの時も、あの時も。そして、今もそうだ。
 もしかしなくても、今この時が振り返るべき時なのだろう。
 だが、しかし俺は振り返ることなどしない。何故なら、それが俺を今まで支えてきたモノ――家族を守ると言う事が、俺にとっての最大の行動理念なのだから。





 その時、教室の扉が開かれる音が耳に飛び込んできた。
 それに気づいた俺は、はっとして扉の方を見た。すると、そこには安田の姿があった。
 ヤツは俺に気づくと、少し驚くような顔をしてみせた。そして、すぐにその顔を元に戻すと、片手を挙げ、少し笑顔を見せながらこちらに向かってきた。


「よう、高町まいど。何や今日は早いな。どないした?」

「そういうお前も今日はお早い登校のようだが――何か理由でもあるのか?」


 俺は努めて自身の動揺を悟られないよう、細心の注意を払いながら答えた。


「ん……ちょっと用があってな。それ終わらせてから来たんやけど、なんや中途な時間になってな」


 その言葉に俺は頷くと、ヤツから少し視線を逸らした。そしてその視線を黒板上の壁時計に向けた。
 時間が気になった訳じゃない。ただ、ヤツと長い間目を合わせていられなかっただけだ。

 ――さて、よく考えろ高町恭也。
 おそらく、これが最後の境界線だ。ここを越えたらもう戻れぬぞ。
 さぁ、どうする!!





「安田、ちょっといいか」

「ん? どないした?」


 奴はこちらを振り返りながらそう言った。その顔は先ほどと違い、とても眠そうな顔だった。おそらくは、昨日遅くまで起きていたのだろう。


「いや、そんなに大した事じゃないんだが」

「あぁ、何や相談事か? 急ぎやなかったら後にしてくれへんかな、今めっさ眠いねん」

「――昨日、何をしていた?」


 時が凍りついた。
 安田は俺の顔を全く表情を変えずに見続けている。
 目を逸らしたい気持ちでいっぱいだったが、今度ばかりは目を逸らす訳にはいかなかった。
 すると、やがて安田は目線を俺から下に下げ、何かを思案するような顔をした。


「昨日の昼休みに晶の所に行ったお前はそのまま教室に戻らなかったな――何をしていた?」


 何時もの緩い表情と違い、安田は一度も見たことのない真剣な表情をしていた。
 おそらくは俺の予想通り、俺たちに言えない何かやましい事をしていたのだろう。


「――ん、そうだな。確かに俺は昨日教室に戻らなかったな」


 安田の何時もと違う表情、そして口調に俺は少しドキリとした。
 これはもしかすると予想通りなのか――そう思った俺は、安田に対して弱めの殺気をぶつけることにした。


「あまり怖い顔をこちらに向けるな、高町。俺はそんな顔をされるような事をしてはいない」


 顔だけでなく、体全体をこちらに向けながら安田はそう言った。


「何故そんな事が言い切れる。ならば何故隠す」

「そうだな、別に俺には隠し切らねばならぬ程の理由は特にないんだよ。ただ、その方がいいと思って隠しているだけだ」

「それはどういう事だ? 何か俺に関係があるから隠しているのか?」


 安田は目を閉じ、足を組みなおした。


「そうだな、確かにお前に関係のあることだ。だが、俺を信じてくれないか? 何もお前たちに危害を加えるような事はしちゃいない」

「――そうか、では今はそういう事にしておこう。この件については保留だな。だが、いずれ話してもらうぞ?」

「仰せのままに」


 安田はそう答えると自らの席から立ち上がり、教室を出て行こうとした。


「どこへ行く?」


 その後姿に呼びかけると、安田はあっさりと振り返った。


「ただの便所。さっきから我慢しとってん」


 そう言い残すと、教室から出て行った。そして、再びこの教室で俺は一人になった。
 俺はため息をつくと、そのまま机に突っ伏した。

 ――本当にこれでよかったのか?
 もっと追求した方がよかったのではないか。殴り倒してでも聞き出した方がよかったのではないのか。

 そのままの姿で俺は顔だけを起こした。
 飛び込んできた景色は先ほどと全く変わらず、薄暗い教室は俺に何かを警告しているかのようだった。
 そして俺はそこで気がついた。

 ――あいつ、何故あんな事を言えたんだ?

 その事に俺は少し恐怖した。
 あいつはあの場面で決して知りえぬ事を言った。言ってはならぬ事を言った。

 ――思い出せ高町恭也。
 何故あいつはあんな事が言えた。何故そんな事を知りえた。

 この件について保留した事を俺は後悔していた。
 またしても俺は甘かった。この件について俺は遠慮などできる立場ではなかったのだ。

 ――何故、そんな事を失念していたのだ。
 失念していい訳がないだろう! 守り抜くと誓ったのではなかったのか!

 先ほどの安田の言葉が頭に何度も鳴り響く。それは、俺に対して最後の警告であるかのように。
 そして、俺は頭を抱え、再び机に突っ伏したのだった。













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――あとがき――
 第11話いかがでしたでしょうか?
 いよいよ自分の書きたかった部分にこれて、少しほっとしている自分がいます。

 では、次は第12話でお会いしましょう。
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  1. 2005/06/17(金) 10:21:59|
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霧城昂

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