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Blue Moon 第12話

 今朝の奴の様子は何時もと何かが違っていた。
 話し方が標準語に変わっていただけでなく、よくはわからないが何かが何時もと違っていた。そう見えたのは俺の気のせいではないはずだ。

 視線を時計に向ける。
 その針は昼休みまで後わずか。
 あの長い針が十数周回転する間があった。


 ――まだ考えていられる時間はあるようだ。


 そう思い、俺は少し安心をした。










 あの時、奴は知りもしない事を口にした。知り得る事のできない事を口にした。
 それこそ、人の心を読まねばわからぬ程の事を、だ。

 奴の姿を頭に思い浮かべる。
 俺と同じか少し低いくらいの身長はあるもののその体つきは細く、特別何か技を修めているような体格ではなく、身のこなしも素人同然の動きだった。
 だがしかし、そこで結論付けてはいけない。
 奴は俺の目を盗んだのだ。それも一度だけでなく二度までも。


 ――奴は一体何者なのか。


 もしかすると、今の俺が幾ら考えてもわからない事なのかもしれない。だが、最低限予想はできる。
 おそらくは何か諜報系の、それも人の心理を読む技を修めた男なのであろう。
 そしてここに転校してきたのは、この俺、御神について調べる為ではないのか。


 ――思えば、偶然が重なりすぎてはいないか?


 なぜ公立ではなく、わざわざ金のかかるこの私立学園に転校してきたのか。
 なぜクラス順から見て後ろの方である3-Gに転校してきたのか。
 なぜ奴の席が全体的に見て中途半端な窓際の真ん中辺り――俺の斜め前――になったのか。

 偶然が三度続けば、もはやそれは必然である、という話を聞いたことがある。
 そう考えるとこれは無視できぬ事ではないのか。

 しかし、そう考えたところで俺は一体どうするつもりなのだ。
 直接奴に、お前は何を調べている、とでも聞くつもりか?
 確かにそれが一番手っ取り早い方法であろう。ただし、それが正解ならば、だ。
 もし間違いだったらどうする。
 全く関係がなく、全ては俺の早とちりで済むだけならずっといい。最悪なのは俺の考えが少しでもかすった時だ。
 その時は未だ遠くにある危険を俺自ら手繰り寄せる結果になる。
 それだけは避けなければいけない。


 ――なんだこれは……八方ふさがりじゃないか。


 その事実に気づいた時、足が俺の意思と勝手に震え始めた。
 俺は歯をかみ締め、両手で足を押さえ込んだ。
 その時、手から離れたシャーペンが少し不快な雑音を奏でながら机を転がり、床へと落ちていった。
 仕方なく俺は落ちたシャーペンを拾う為、机に乗りかかって少し震える右手を伸ばした。その手が後少しで届くかと言う時に、思いがけない事に気づいた。


 安田がこちらを見ていたのだ。
 それもその顔には、まるで恐怖に震える俺をあざけるような薄い笑みが浮かんでいた。


 ――これは気づかれた!?


 奴はその恐ろしい顔をしばらくこちらに向けていた。その顔に薄い笑みを浮かべたままこちらをずっと見つめていた。
 以前似つかないと評したピアスが鈍く光る。
 足だけでなく、全身まで小刻みに震えだした。

 その永遠とも思えるような時間が過ぎ、奴はゆっくりとこちらに向けていた顔を元に戻した。
 それと同時に体の震えも治まり始めた。
 そうして初めて背中が汗ばんでいる事に気が付いた。
 その不快な感触に俺は顔をしかめると、うずくまるように机に顔を伏せた。


 ――もはや、これは決定的じゃないか。



 俺は奴に問い詰める事を決意した。










Blue Moon 第12話










 昼休みを示す鐘が鳴り響いた。それと同時に教室内がざわめき始める。
 教師も早く飯を食いたいのか、それをとがめることもせず、そのまま授業終了を告げ、教室を出て行った。
 そして、それに続くように数人が教室を飛び出していった。


――毎回毎回よく疲れない事だな。


 そんな事を思いながら俺は席を立つと、安田の席に向かった。
 それに気づいた奴は俺の方に向き直った。その顔は先程と違い、純粋な笑顔で覆われていた。


「おう、高町。飯か? せやったら今日は食堂行こうや」


 先程と違う普段通りの安田の言動に少し戸惑う。
 こいつは俺をからかって楽しんでいるのではないのか――そんな負の感情まで流れ込んでくる。


「ん、どないした? ぼうっとして」


 安田が笑顔を消し、怪訝そうな顔でそう言った。
 何時までも黙っている俺を不審に思ったのだろう、それはそういう顔だった。

 少しだけ開いている窓から緩やかな風が流れ込んできた。その風は秋らしく涼しい風で、俺を少しだけ安らかな気持ちにさせてくれた。
 俺は奴の目を真正面から見据えた。


 ――さぁ、行こう。


「安田、大事な話があるんだが、ちょっといいか?」


 俺の言葉に安田は表情を凍りつかせた。それは先程俺が恐怖を覚えた顔そのものだった。


「そうか。なら放課後にしないか? 俺にも色々準備がある」

「――わかった。うむ、今日の飯は別々の方がいいだろう」


 今の俺にとって精一杯の回答を返した。
 そして相手の返事を待たず、安田に背を向け、食堂へ向かう為に歩き出した。

 奴もわかっているのだろう、このあたりがお互いの限界点だという事に。
 数時間後、ようやく知りたかった答えを知ることができる。
 それに対して俺は不安と満足、両方の感情が心に生まれるのだった。

 教室の扉をくぐりぬける。
 その際、月村起きろ、という安田の声が聞こえてきた。
 その声に少し不安が強くなったが、衆人環境ではそう大胆な事もできないだろう、と言う考えの方が強く、それを無視することにした。










 食堂に着くと、そこはもう既に戦争になっていた。
 今更この人の流れの中に割り込む気力も無かった俺は、残り物のパンで我慢することにした。

 壁に背を預け、腕を組みながらこの人の流れをじっと見つめた。
 綺麗に並んで購入した方が早く買えるのではないか。そうなると彼らの行為は全くの無駄と言うことになってしまう訳だが――いや、整列等していたら欲しいモノが必ず手に入るとは限らないではないか。
 なるほど、そう考えると彼らの行為にも意味がある。

 そんなつまらなくどうでもいい事を考えていると、人ごみの中に見知った顔があることに気が着いた。
 晶は欲しい物を無事購入できたのか、人ごみの間をこじ開けるようにして外に脱出しようとしている所だった。
 その姿を見ていた俺は、無事晶が脱出できた所で彼女に近づくことにした。


「晶、お前もパンだったか」

「あれ、師匠。師匠もパンだったんですね」


 人ごみで疲れた、と言う顔を消し、晶の顔にはもう笑顔しかそこには無かった。
 そんな晶に黙って頷くと、晶は俺の周りを見回し始めた。


「師匠が食堂って事は、稔先輩も今日は食堂に来てるんですか?」

「いや、今日は一人だが、それがどうかしたか?」

「い、いえいえ、特に意味はないです!」


 晶は俺の言葉に慌てた素振りで手を左右に振りながらそう答えた。


「じゃ俺、みずのが待ってるんでそろそろ行きます。では!」


 そしてあっと言う間に走り去っていった。


 ――もう少し、淑やかにできぬものだろうか。


 そう心の中で嘆きながら人ごみに目を移すと、ラッシュが終わったのかそこには先程と比べて半分くらいの人しか確認できなかった。
 そろそろ俺も購入しておこう。コロッケパン辺りが残ってくれていればいいのだが。










 教室に戻った頃には、もう時計は昼休み終了二分前を表していた。
 パンを食った後、腹ごなしの散歩をしていたら次の授業が体育だと言う事を忘れ、少しのんびりし過ぎてしまった。

 俺は慌てて体操服とジャージを抱えると慌てて更衣室へと向かった。
 今日の体育は体育館でバスケだったか。
 そう思うと、俺は次の体育を適当に流すことにした。

 しかし、体育の時間が始まっても安田の姿を確認することはできなかった。
 そして奴の姿が確認できたのは、体育の時間が終わった後だった。
 授業が終了し、教師の姿が無くなり、みんなが教室に帰ろうとしていた時だった。


「高町ぃ!! この意味がわかるか!?」


 突然背後から俺を呼ぶ大きな声が聞こえてきた。
 その大きさに少し背中を震わせると、溜息をつきながら後ろを振り返った。
 初め俺は今頃来た安田をとがめようとするつもりだった。
 だが、それを見て俺は驚愕に心を振るわせた。

 壇上で体操服ではなく何時もの制服を着込んだ安田が立っていた。
 それだけならまだ良かったろう。だがしかし、安田の足元に信じられないものが存在していた。


 ――それはロープに体を縛られ、横倒しにされた月村の姿だった。


 俺の中で大量の血液が疾走した。目の前が少し歪んでいく気がしたが、今は倒れる訳にも行かず、しっかりと足を踏みしめ、安田の顔を見返した。
 何をするつもりなのか、奴は手のひらを上に向けながらゆっくりと右手を挙げた。


「さぁ、高町」


 奴は右手が頂点まで上がった所で、人差し指だけを伸ばし、それを天にかざした。


「ここがお前の地平線だ。」


 その手を下ろし、少し見下すような目つきをした。


「お前にこの青い月は見えるかな?」











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――あとがき――
 第12話、いかがでしたでしょうか?
 ようやくクライマックスです。やっとここまで扱ぎ付けました。
 10話で終わらせる予定が数話オーバーという結果に……
 まだまだ精進が必要です。

 では、次は第13話。
 おそらくは最終話になろうと思いますが、どうぞ最後までお付き合いをお願いします。
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  1. 2005/06/29(水) 00:15:55|
  2. とらいあんぐるハートSS|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:1
<<She led to wide-scale bloodshed. -第一部 第6話- | ホーム | She led to wide-scale bloodshed. -第1部 第5話->>

コメント

腰が痛いのは、辛いですね。

腰が痛いのは辛いものです。
私も14年間悩まされました。

私が考案した腰痛解消法をお試しください。
現在、日本で一番多く実践されるようになりました。

【3分腰痛解消法】で、検索すると見つかります。
腰をお大事に。
  1. 2008/09/02(火) 12:40:36 |
  2. URL |
  3. 腰痛アドバイザー #-
  4. [ 編集]

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霧城昂

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