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She led to wide-scale bloodshed. -第一部 第6話-

 ザール帝国の都ライオットより西に数十km。
 ここにザール帝国軍の姿があった。その数四千。
 若干の防衛軍を首都に残しつつ、その数を送ることのできる軍事力はまさに圧巻の一言だ。
 その軍を引き連れ、先頭を白馬で進むのはザール帝国軍総大将ロバート=D=シュテッケン団長だ。
 その他、リング12に所属する騎士たちも皆それぞれの隊を率いて進んでいる。

 騎馬にまたがる騎兵隊や騎士たちはともかく、軍の半数以上を占める歩兵たちの顔には疲れが見えた。
 それもそのはずだろう。もう夕暮れなのだ。
 彼らは朝早く帝都を出発し、今この時まで休みはあったものの、ほとんど歩き詰めと来ている。
 疲れない方がおかしいと言うモノだ。

 彼ら一団の中には馬車もたくさん確認する事ができた。
 そのほとんどが物資運搬用の為の物であったが、最も後方を走る馬車には魔術師達が乗っていた。
 多分に漏れず、この物語の主人公レイの姿もそこにあった。
 その姿は戦場というのに何時もの通り奇妙な黒衣を身にまとい、魔術師だというのに杖一つも持っていなかった。
 ただ何時もと違う点が一つ。腰にレイピアの様な剣を下げている点だけだった。










 さて、以前この国の軍事力が世界一と評した。そのことを覚えているだろうか。
 確かにその武力はリング12を筆頭に圧倒的なモノを備えている。それは間違いのない事実だ。
 だが、忘れてはいけない事実がもう一つある。
 それは先の戦い――ルクレツィアの丘の決戦――の時、たった十二人だけで数千人を相手に勝利を収めた。
 これは一見物凄いことに見える。確かにそうだ。事実十二人で数千人相手に勝利を収める等、普通はありえない事。これはとても凄いことだ。
 しかし、ここで一つ忘れてはいけない事がある。
 ザール帝国がウィナー帝国に勝利を収めたのはルクレツィアの丘においてであり、そしてそれまでザール帝国はウィナー帝国相手に劣勢だったのだ。

 ここで皆さんは疑問に思うだろう。
 何故世界最強の軍事力を持つはずのザール帝国が劣勢になるのか。
 答えは簡単だ。


 ――魔術の発展した国ではなかったからだ。


 確かにザールにはアンジェラと言う天才的な魔術師が居た。
 逆に言えばただそれだけだ。
 アンジェラ一人が如何に凄いからといって、ウィナー帝国の魔術部隊に対抗できるという訳ではなかったからだ。
 これ一つとってもリング12の凄さがわかるというものだろう。










 レイは東の空を見つめている。その空は薄暗く、西の空では丁度夕日が沈みかけているところだった。
 その薄暗い空の下に見えるのは数時間前彼らが乗り越えてきた岩山だ。
 岩山は険しく、その様子から現在ではザール帝国西部の最終防衛線として使われている程だ。

 彼女は視線を変えず、少し目を細めた。まるで何かを憂いているかのように。
 それらの景色は彼女にどのような影響を与えたのか。
 いくらこの私でもそれを理解することはできなかった。


 ――たとえ彼女が私に一番近い人間だったとしても。










She led to wide-scale bloodshed. -第一部 第6話-










 やがてザール帝国軍は団長の号令と共にその前進を停止させた。
 どうやら今日はここで野営をするらしい。
 兵達は馬車の中からテントを取り出した。まず会議をする為の大きなテントから作り上げ、そこから少しずつ小さなテントを作りあげていく。
 四半刻程で全てが完成したというのは、かなり早い部類に入るのではないだろうか。
 その頃にはすでに日は落ち、星明りだけが彼らを照らしていた。
 当然そんな状況では会議にならない為、ランプやたいまつで明かりと灯したという事は言うまでも無かった事だろう。

 会議用のテントにリング12及び、火の宮廷魔術師であるアンジェラ、そして水の宮廷魔術師であるレイの姿もそこにあった。
 戦が直前に迫っているせいか、彼らの顔は何時にもまして迫力があった。特に団長、ニックの顔は笑みまでこぼれる程だった。
 それとは逆に、アンジェラの顔には不安が表れており、レイに至っては何時もと変わらぬ表情の欠落した顔をしていた。

 そんな異様な雰囲気の中、皆が団長の一言を待っていた。
 ある者は鬼気とした笑みを張り付かせ、ある者は何時も以上に真剣な顔をしながら、皆その一言を待ち望んでいた。
 皆が一同に団長を見ている。
 しかし当の団長はというと、目を閉じ、ニックと同質の笑みを浮かべながら何かを考えているようだった。
 それは何も知らぬ者が見れば、すぐさま逃げ出したくなるような姿だった。
 その姿を一言で言い表すのなら――戦闘狂と言い表すのが一番しっくり来るだろう。
 一般男性より一回りも二回りも大きな体躯で、見るからに筋骨隆々でとても敵わないと思わせるような体つきをした男が、すぐ近くで鬼気迫る笑みを浮かべているのだ。
 白状してしまえば、私だって何度も見ているはずの彼の姿が怖かったのだ。
 実の所、これは団長が戦争前の最後の軍議で魅せる恒例の行事なのだ。だから、私は今まで何度となく見てきた。団長の初めての実戦からずっとずっと。

 すると突然団長はその笑みを消し、目を開いた。


「諸君、おそらく明日。反乱軍との戦いが再開するだろう。彼奴らも既に我々の動きに気づいているはずだからな」


 少し椅子に深く座り直しながら団長はそう言った。
 その仕草で身にまとう白銀の鎧が軋む音が聞こえてきた。


「ブルー、予想衝突点を割り出す事ができたか?」

「はい、私も団長の考えに賛成です。おそらく彼らは我々の進攻に気がついているはず。そして今頃迎撃準備をしている所でしょう」


 ブルーはそう言いながら、慣れた手つきで目の前にある机に大きな地図を広げた。
 それはザール帝国西部地方の地図だった。


「現在、我々が野営している場所はここ。ライオットより西に百kmの地点です。そして――」


 広大に広がる荒野の東側を指で指した。そして、その指をゆっくりと西に引っ張っていき、ルクレツィアの丘も越え、荒野の最西部――巨大な峡谷への入り口でぴたりと止まった。


「おそらく、兵の絶対数で負けている彼らは真っ向からぶつかる、と言う事はしないでしょう。となれば、ここ。狭く側面を完全に塞がれたこの峡谷では一度にぶつかれる人数も少なくて済みます。となれば小数でも戦うことが可能です」


 たいまつに灯った炎がゆらゆら揺らめく。
 ブルーの予想に数人の騎士は同感だ、と言わんばかりに何度も小さく頭を縦に動かしていた。
 しかし、団長とニックはブルーの意見を聴いて頷くのではなく、少し小さな笑みを浮かべていた。
 まるで、お前の意見は間違っている、と言わんばかりの雰囲気だった。
 ブルーはその顔に全く気づいておらず、自分の予想をまるで信じて裏切らない顔だった。


「ブルー、流石にお前は聡明だな。頭がキレる」

「ありがとうございます」

「だが、私はその意見には反対だ。ニックも同じ感想だと思うが、どうだ? ニック」


 団長に話を振られ、ニックは深々と椅子にもたれていた背を起こした。
 そしてブルーを少し嘲るような目で見た後、団長の方に向き直った。


「そうだな、俺の意見を言わせてもらえれば――ブルーの予想には決定的なミスがある」


 ニックは残った片手で腕があったはずの部分を撫でながらそう言った。


「それは俺達の存在だ」


 ニックの言葉にブルーは目を見開き、団長は感心するかのように頷いた。


「もう言わないでもわかるとは思うが、一応言っておこう。確かに少数の兵で守る為にはそれは常套手段だ。その点だけを言えば間違えてはいない。だがそれは一つ条件がある。それは、両勢力の兵の強さが均等かもしくは自身が勝っていると言う条件だ。つまり、この条件を満たさない以上、その作戦を取ることはできない。如何かな? ブルー殿」

「――確かに、貴方の言う通りです。その点を失念していました」


 ブルーのその言葉を聴くと、満足したのかニックは再び椅子に背を埋めた。


「流石だな、ニック。では貴公の意見も聞こうか。どこで彼奴らは待っていると思う?」

「俺なら入り口ではなく出口に張る。出てきた相手を囲んで挟撃することもできるからな」

「そうだな。付け加えるなら出口手前の峡谷内で襲撃をし、頃合を見てゆっくりと後退する」


 団長とニックはお互いを見つめながら少し薄く笑った。
 流石は次期団長と呼ばれた事のある男だった。
 そうなると美味しくないのがブルーではあるが、彼の性格上自分の過ちから起こった事である為、何も言えずただ悔しがることしかできなかった。
 しばらくブルーは意見することはせず、軍議の行く末をただ見守ることしかできなかった。

 それからしばらく議論が交わされ、明日の作戦も決まり軍議も終わろうか、といった時だった。


「そういえばレイ殿。貴方は明日如何されるつもりかな? できる事なら戦場に慣れぬ身である貴方は最後方に控えて貰いたいのだが」


 軍議の間何も言わず、ただじっと地図を見つめていたレイに団長が話しかけた。
 その言葉を受けて、レイはゆっくりと顔を上げた。
 絹のように細い金の髪がゆっくりと流れる様は美しいと言うよりも、何か妖しさを感じさせる姿だった。


「私の事は気になさらず。私は私で少しやらないといけない事がある故、これで失礼させて頂く」


 レイは立ち上がると、騎士たちの背後を音も無く通り過ぎていく。
 たいまつの前を通りかかった時、先程まで揺れていた炎が突然揺れを止めた。
 あまりにも自然だっただめ、その事実に誰も気づくことはなかった。
 そうして彼女はテントから出て行く。
 後に残された騎士たちは彼女の様子に少し疑問を覚えたものの、すぐに軍議を再開させた。

 明日、後の歴史に名を残す戦争が行われる。そして多くの人間に様々な悲劇が起こる日でもあった。
 運命の歯車はゆっくりと終焉の時を刻んでいく。
 何の終焉かは答えられないが、流れる時には様々な分岐点が存在する。
 つまりはそれが明日なのだ。
 それはゆっくりと……ゆっくりと彼女に迫ってくる。


 ――撃鉄はもう降りてしまったのだから。











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――あとがき――
 第6話如何でしたでしょうか。
 いよいよ次回合戦開始です。
 今回の頭から行こうかな、とも思いましたが一話原作にもないイベントを入れてみましたが、如何でしたでしょうか。

 では、次は第7話でお会いしましょう。
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  1. 2005/07/07(木) 01:58:08|
  2. オリジナル小説|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:2
<<Blue Moon 最終話 | ホーム | Blue Moon 第12話>>

コメント

おもしろいですね。またきます。
  1. 2005/07/07(木) 06:27:59 |
  2. URL |
  3. くりみ #-
  4. [ 編集]

感想ありがとうございます。

感想ありがとうございます。
何とか頑張って執筆してますので、よければまた読みに来てください。
  1. 2005/07/08(金) 18:10:27 |
  2. URL |
  3. 管理者 #-
  4. [ 編集]

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霧城昂

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