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She led to wide-scale bloodshed. -第一部 第7話ー

 古今東西、戦場には必ず敵と味方が存在する。それはごくごく当たり前の事だ。それが事実でなければ、男たちが命を削って戦う様が、酷く滑稽なモノとして映ってしまう。
 だからこそ、それは当たり前の事なのだ。

 さて、何故今更このような事を言っているのか。
 それは今回の話は味方の話ではなく、敵方の話であるからだ。


 ――本来ならば語らずとも良い話ではないのか?


 そう思われる方もいらっしゃるだろう。しかし、これは語らねばならない事なのだ。何故なら、彼らもまた彼ら自身の正義で戦っており、何より彼らの大将は後に重要な役割を担う人物であるからだ。

 彼は戦士だ。
 才能だけを問うならば、それは英雄になれるだけの力を持った人間だ。
 だが、彼は英雄である事を求めなかった。
 結果的に人々に英雄だと呼ばれる事はあったが、彼はそんなものを求めていなかった。
 彼の求めていたモノはただ一つ。
 彼はこの世界に覇を求めていた。
 なるほど、彼ならばそれを達成するかもしれない、と彼の周りにいる人たちは口を揃えて言う。

 それは私にとっても同感だ。
 別の時代に生まれていれば、彼の右に出る力を持った人間は存在し得なかったろう。
 だが、彼には運が無かった。それは何故か?
 簡単だ、彼女と同じ時を生きてしまったからだ。

 彼がどのように生きてきたかはここでは語るまい。
 彼女程に彼を注目しろ、という訳でもない。だが、少しだけ、少しだけ彼を気にかけてやって欲しい。
 この物語は彼女の物語でもあるし、彼の物語でもあるのだから。










She led to wide-scale bloodshed. -第一部 第7話ー










 その男は空を見上げていた。
 そこには雲ひとつなく、満天の星々がその男を照らしていた。そのお陰で男の顔がはっきり見てとれた。
 おそらく二十代後半から三十代半ばくらいだろうか、その容貌は決して整っている訳でもなかった。ただ、その瞳はぎらぎらと光っていた。それは獣の目と表現するのが一番わかりやすいだろうか。彼はそんな目をしていた。
 そしてそれは目だけではなかった。
 彼の全身を見ると、同じ年代の男と比べてみても、一回りも二回りも大きな体つきをしている。服の上からでも見てわかる大胸筋や、袖口から見える二の腕を見ても、彼が相当強い男であろう事は容易に想像できた。

 私が彼を見つけてから十数分経ったろうか、未だに彼は星空を見上げている。
 案外、見た目と裏腹にロマンチストな人間なのかもしれない。
 時折聞こえる虫の声を覗けば、それは確かに静かな夜だった。
 それもそのはず。十数時間後にはここは戦場となる場所なのだが、今はまだその時ではない。古来より戦場となる場所は概ね開けた場所だ。静かだと言うのは当然のことであろう。


「どうした? 俺に何か用か?」


 男はふいにそんな言葉を口にした。
 始めは私の視線に気づいたのかと思ったが、すぐに否と思い返した。
 彼は人並み外れた強さを持っているのだろうが、それは人間と言う枠内の話だ。そうである以上、私の気配に気づく訳もなかった。
 その予想は当たっており、彼が話しかけたのは私とはまた別の存在だった。


「そうですね。明日の最終確認というのはどうでしょうか?」


 何処からか、少し低い女の声が聞こえてきた。
 すると、先ほどまでは確かに誰も存在しなかった場所に長身の女性が立っているではないか。
 男はそれに慣れているのか、女の方を振り返りもせず星空を見上げながら言葉を返した。


「そうか。で、確認したい事とは何だ?」

「そうですね。本当に渓谷の前に部隊を配置してよろしいのですね」

「あぁ、構わない。それが何か不満か?」


 夜空を見上げながら、少し意地の悪い声で男は言った。


「そうですね。軍師である私の意見を言うならば、渓谷の後ろに陣取った方が有利に事を構えられます」

「それじゃあ駄目だ」


 いつの間にか男は彼女の方を見つめていた。彼女は顔こそ無表情のままだったが、その視線と声のどちらかに一瞬戸惑ったように無言になった。


「――何故駄目だというのです?」

「長年連れ添ってきたお前がわからないか? 答えは簡単だ。それじゃあ面白くないからだ」


 今度こそ彼女は絶句したような顔をした。そしてすぐにその顔を何時もの無表情な顔に戻した。


「まったく……貴方と言う人は、私のいる意味がないじゃないですか」

「そうでもないさ。お前にはこれまでに何度も助けられている」


 彼らはお互いに何かを懐かしむような目をしていた。
 何時までも続くかと思われたその時は、男の方から動かした。


「で、脅威なのは本当にリング12だけでいいのだな?」

「えぇ、他に天才魔術師アンジェラも居ますが、所詮一人だけ。少し注意を払うだけでいいでしょう」


 女のその言葉に男は頷きもせず、何か思案しているかのような顔をした。そんな男の姿を彼女が疑問に思うはずもなかった。


「どうしたのです? 他に誰か気をつけないといけない事でも?」

「――いや、それが槍鬼の事なのかもしれないが、予感だ。匂いがするんだよ」

「匂い……ですか?」

「同族……いや、同種だからわかる匂いってヤツがな」


 男の言葉の意味がわからなかったのか、彼女は一瞬不思議そうな顔をした。
 その顔に気づいた男は、気にするな、と言った。
 そして再び視線を女から夜空に戻した。


「ようやく……ここまで来ましたね」

「――あぁ、あの小さな村を飛び出してから、ここまでおよそ十年か。随分と時間がかかったもんだ」

「私はあの時、十年以上はかかると言いましたよ?」

「そうだったか? もしそうだったらすまなかったな。あの時の俺はまだガキだったんだ」

「いえ、気にしてませんよ。そんな貴方だから、ここまで付いてきたのですから」


 再び彼らの間に懐かしい雰囲気が立ち込めた。
 男の目には、先ほどまでと違い、穏やかな目をしていた。女の顔もただ無表情ではなく、どこか懐かしんでいる雰囲気があった。


「さて、いよいよ明日だ。俺はおそらく槍鬼とのほぼ一騎打ちのような状況になるだろう。全体指揮は任せたぞ?」

「えぇ、それが私の役目ですから。明日は存分に楽しんでらしてください」


 どういう原理なのか、その言葉と同時に女の姿が掻き消えた。やはり男は慣れていたのか、それを全く気にせず視線をぴくりとも動かすことはなかった。


「槍鬼……またの名をガラハッド。俺がこれまで相手してきた中で、おそらくは最強。もしかすればヤツも俺と同じアルカナの一人かもしれぬ」


 男は視線を真正面に向けると、右手の拳を握りこみ、視線と同じ真正面に放った。
 少し遅れて、拳の前にあった草々が風圧によって揺れていた。


「天下等そのついでだ。最強の座を俺に明け渡して貰おうか、槍鬼よ」


 男は真摯だった。それは自らの力を信じ、信じきった結果だった。
 彼もまた、レイと同じこの物語の一角を担う人物。私に選ばれた人物なのだ。










 もうこの辺りで十分だろう、と私は彼の元から立ち去った。
 さぁ、明日は歴史に名を残す決戦だ。
 一瞬にしてその決戦の場に飛ぶこともできるが、今はそんな気分ではなかった。少しだけ彼に毒されたのか、一晩中夜空を見上げてみたくなったのだ。
 見上げた空には彼と同じ視界が、満天の星々が私の眼に飛び込んできた。
 それは悠久を生き、旅してきた私ですら美しいと思えるような光景だった。

 私には明日の結末はわかっている。
 だが、その結末が彼らにとって良い出来事であってくれ、これからの彼女の運命を良いものとしてくれ、と星々に願わずにはいられなかった。











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――あとがき――
 第七話如何でしたでしょうか。
 いや、少しばかりというか、かなり遅れてしまいました。
 レポートやらテストやらで、少しの間書く暇がなかったもので。
 久々に書けた、こんな駄文が少しでも良いと思われましたら、感想の方をよろしくお願いします。
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  1. 2005/08/08(月) 01:26:09|
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霧城昂

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