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手のひらの中の奇跡 -恭也視点 第一話-

 ―4月10日―

 恭也視点 第一話










 もう何度目になるかわからない程通り抜けた門を小走りで通り抜ける。
 もう大丈夫だろうか、と愛用の時計を取り出してみるとまだ十分程余裕があった。思ったより速く走りすぎたらしい。
 これならば大丈夫だろう、と俺は走るのを止めて歩き始めた。

 先週の始業式では授業がなかった為、今日が三年になって初めての授業がある日だ。
 その事を考えると、昨年のように授業を寝て過ごすのはどうだろうかとか、今年もうまくやっていけるのだろうか、と少し憂鬱な気分になってしまう。

 後者は今年も赤星と同じクラスな為、あまり心配はしてなかったが問題は前者だ。
 昨年は本当に危なかった。
 もう少しで留年する所だったのだ。
 そんな経験からか、そう思ってしまうのは学生として当然の事だろう、と思う。
 しかし、俺自身大学には興味が無く、卒業したら実家を手伝いたいと言う気持ちがある為、勉強を積極的に頑張ろう、とはどうしても思えない。
 だから結局昨年通りでいいだろう、と思ってしまう自分が少し情けなく感じてしまう。











 そうだ、自己紹介を忘れていたな。
 俺の名前は高町恭也。
 先ほど述べた通り、私立風芽丘学園の三年だ。
 その他の事は色々この場で語りつくせない程特徴はあるんだが、特に必要のない事と思うのでそれは良いだろう。
 今重要なのは、ちゃんと遅刻せずに教室に到着できるか、だ。

 そうこうしている内に、俺は下駄箱付近に到着した。
 どうやら今の時間がピークらしく、俺と同じように投稿してくる人たちで溢れかえっていた。
 そんな中、俺は自分の下駄箱の位置を探している。
 しばらく辺りを見渡していると、見覚えのある顔が飛び込んできた。


 ――あれは確か……去年同じクラスだった、月村さんだったかな。


 そして、始業式の日に教室から出た時に、月村さんと肩を軽くぶつけ合った事を思い出した。
 どうやらあそこが俺のクラスの下駄箱らしい、と思った俺は月村さんのいる下駄箱に向かう事にした。

 丁度俺が到着した時、月村さんは靴を下駄箱に入れていたところだった。
 その姿を見て、俺も靴を履き替えよう、と思っていたら、不意に彼女がこちらを振り返った。
 彼女の顔を眺めていた俺は当然彼女と目を合わせる格好になった。


 ――ん、まずい。


 そう思って視線を外そうとすると、突然彼女が笑い出した。
 何の事かわからない俺は訳を聞こうと思い、外そうとした視線を彼女に戻した。
 少しその状態で待っていると、彼女の笑いが治まり始めた。

「ご、ごめん。ごめんね。高町くんってそう言う可愛いリアクション取る人とは思わなかったからさ、つい」

「―――ん、どんな反応だったか、聞いてもいいか?」


 そう返すと、彼女は少し思案するような顔をした。
 初めて彼女の姿を見た時にも思ったが、彼女は本当に美しい顔立ちをしている。
 そんな彼女の思案する顔を見たのはこれが初めてなので、余計に彼女が美少女である事を感じ取れた。


 ――少し頬が熱いような気がするのは、気のせいと思いたい。


 辺りは先ほどまでの騒然とした雰囲気ではなくなっており、人の波が落ち着いたのか雰囲気まで落ち着いてきた。


 ――この様子だと少し急がないといけないかもしれないな。


「そういえば、高町くんとこんな感じにお話するのは初めてだね」

「そうだな、去年も同じクラスだったが、何分接点がなかったからな」

「じゃ、初めまして。私の名前は月村。月村忍」


 ――どうやら俺の予想は当たっていたようだ。


「あ、もしかして私の名前間違えて覚えていたとか?」


 ――結構、するどい子なんだな。


「いや、気のせいだ。俺の名前は高町恭也。まぁ、今年一年よろしく」

「ん、よろしくね。高町くん」


 実の所、俺は彼女と話し始めてから何か他の人とは違う違和感――余り人と話す機会はないのだが――を感じていた。
 何故初めて話すはずなのに、こうも打ち解けたような会話ができるのだろうか。彼女の人徳故か、それとも他に何かあるのだろうか。
 前者だとすると、俺が何時も彼女の姿を見た時は一人の時だった。彼女がクラスで他の人ときさくに話しているのを見た事がない。
 とすると後者だろうか。そうだったら、少し――


「そろそろ時間がまずいだろうから、教室に行かないか?」

「うん、そうだね。行こうか」


 そして、二人並んで教室に向かって歩き出した。

 やはりおかしい。
 自分の不器用さは自分が一番わかっているつもりだ。
 そんな俺が女の子をこんな風に何でもない事とは言え、誘えるはずがない。一体俺はどうしてしまったのだろう。
 共に歩く彼女の横顔をちらりと見る。
 俺が今まで見た彼女の顔といずれも一致しない、少し楽しげな顔をしていた。
 彼女の方は何でも無い事なのだろうか。
 そう思うと、少し気分が重く感じられた。


 ―― 一体、俺はどうしてしまったのだろうか。


 二人並んで階段を上る。途中上から駆け下りてくる男子生徒が居た為、少し脇に避けて道を空けてやる。急いでいるらしく、俺達の方を気にもせず駆け下りていった。
 教室でも間違えたのだろうか、そう思った俺は再び階段を昇り始めた。
 その時、少し疑問に思った事を聞いてみた。


「そういえば、うちのクラスの担任は結局誰だったんだ?」

「あれ? 高町くん見てなかったの? 英語の沢田先生だよ、あの化粧の濃い人」


 記憶を遡ってみる。
 しかし、何故か俺の記憶の中には沢田先生と名乗った人物や、化粧の濃い先生の顔等存在しなかった。
 何故だろうか、と思案しているとすぐにその答えに思い当たる。
 基本的に英語の授業は全て居眠りをしていたからだ。こんなのでよく三年に進級できたものである。


「――ん……記憶にないな」

「それは高町くん、授業中ずっと寝てたでしょう? ま、私も余り人の事をとやかく言える立場じゃないんだけどね」


 階段を共に昇り終わり、教室のある階に到着する。
 その廊下では、幾人か教室に入ろうとする人や、窓にもたれて会話をしている人たちが居た。
 その様子から、まだ時間は大丈夫なのだな、と俺を安心させた。流石に始業式の次の日からいきなり遅刻はかなりまずいことになるだろう、と。
 さっそく教室に行こうか、と思った時、月村が俺と反対方向に歩き出した。一体どこへ行くのだろうか。


「月村、どこへ行くんだ? 教室はこっちだろう」

「女の子にそんな野暮な事を聞いちゃだめだよ? じゃ、また後でね」


 意味不明な言葉を残し、月村は教室とは反対方向へ歩いて行く。すぐにその先に何があるか気づき、俺は視線を教室の方向へ戻す事にした。


 ――どうやら美由希の言う事も、あながち間違いではないのかもしれぬ。


 何時も俺の人となりを注意してくれる妹に心の中で礼を言い、俺は一人教室へ向かうことにした。
 まだもう少し時間があるだろうが、早めに教室に入っておいて損はないだろうからな。










 俺はこの時、まさに人生の分岐点とも言える瞬間に出会った。それはこの時に感じたことではなく、もっと後の時間で気がついた事だ。
 この時、遅刻すまいと急いだ俺の判断は普通に考えれば正しい行為なのだろう。これからも今までのように普通に生き、暮らし、家族を守っていく。そんな人生を送っていくのだろうと思っていた。
 だがしかし、遅刻せず間に合ってしまったせいで俺の人生は変わってしまった。

 俺は運命と言う言葉は信じていないし、未来予知と言う言葉も信じていない。それを信じてしまえば、俺たちには未来への選択肢と言うものが存在しない事になってしまう。
 これが俺たちに与えられた運命だと言うのはまっぴらだ。俺は俺自身が常に未来を選択し、生きてきた。そこに神の手が入る余地など存在しない。
 だからこそ……俺はこの選択に後悔していないのだ。










 何時ものように俺は扉を開け、教室へと入っていった。
 そんな俺を迎えたのは、クラス中の喧騒と俺を見つけた赤星だった。


「よう、高町。今朝は遅刻しなかったな」

「それじゃまるで俺が何時も遅刻しているようじゃないか」

「始業式の日、日にち間違えて遅刻しそうになっただろう」

「―――ん」


 そう言われると何も言い返せなくなるのが少し悲しい。
 何か言い返せる言葉がないか、と思案していると、赤星が思いもよらぬ事を言ってきた。


「そういえば高町。俺達の担任って英語の沢田先生だったよな?」

「――そう、らしいな。それがどうかしたか?」

「いや……な、それが沢田先生、昨日意識不明で病院に運ばれたらしい」

「意識不明……?」


 赤星の言葉に少なからず俺は衝撃を受けていた。
 顔すらも覚えていない先生だが、担任が意識不明で病院に運ばれたのだ。衝撃を受けない方がおかしいと言うものだろう。


「それはどうなんだ? 回復の目処はついているのか?」

「ん……俺も人づてで聞いた話だから何とも言えないけど――過労で突然ふっと意識が飛ぶ事は稀にあるらしい」

「そうか、それは心配だな」

「あぁ、でも周りが心配しすぎてるだけで、こういう症状は割りと呆気なく目を覚ますらしいぜ」


 名前以外英語教師で化粧が濃い、と言う事しか覚えていない俺だが、赤星の言葉で少しは安心することができたようだ。


「それと別にもう一つ心配事があるのだが」

「ん? 何だ?」

「俺達の担任及び、英語の担当教師はどうなるんだ? このままじゃ勉強できないだろう」

「教師が居ても、お前は勉強しないだろうに」

「―――む、今年こそはちゃんと起きておこうと心に決めた」

「お、そうか。じゃあ頑張れ。英語は臨時講師を呼ぶらしいぞ」

「む……了解した」


 この時、俺はこの何気ない会話で後にこんな悲劇に見舞われるとは、全く思っていなかった。
 ある程度、危険については何時も想定している。だからこそ俺はこの業を修めている。だがしかし、あんな絡め手で来るとは全く想定していなかったのだ。
 先ほど言ったように、俺は自分で決めた選択には後悔はしない――だが……だが、彼女に対して幾ら詫びても、俺の短い命を全てかけても、決して許されはしないだろう。
 だが俺はコレを捨てずに、一生背負っていくつもりだ。
 それが彼女に対してのせめてもの償いであり、もっと言えば義務なのだろう。


 ――だから、だから忍……俺がそっちへ行った時は、その手で殴ってくれないか?










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――あとがき――
 どうも、霧城昂です。
 初めましての方は初めまして、久しぶりの方はお久しぶりです。

 前回から約一ヶ月程でしょうか、ようやく長編の構想ができたので書き始めた次第であります。

 この物語は二人の主人公が居て、それぞれの視点で話を進めていく形式です。
 一人は恭也。二人目はリスティです。
 恭也の物語は4月10日から始まり、リスティの物語は4月7日から始まります。
 そして二人がどうなって行くかは、お楽しみにしていて下さい。

 そしてヒロインは…というと難しい所でして、一応メインヒロインはリスティと言う事になってます。
 メインではないですが、忍もヒロインの一人です。その他はあまり目立たないかもしれません。(苦笑)

 ではまぁ、次はリスティ視点第一話でお会いしましょう。
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  1. 2005/08/12(金) 01:37:53|
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