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手のひらの中の奇跡 -リスティ視点 第二話-

 ―4月8日―

 リスティ視点 第ニ話










 耕介お手製のスクランブルエッグに手を伸ばす――うん、美味しい。もしかすると今日は会心の出来なのではないだろうか。
 そう思い、耕介の方に視線を送ると自信満々の笑みが返ってきた。予想通り会心の出来だったのだ。

 再びスクランブルエッグに手をつけながら、昨日の越野警視長の言葉を思い出す。昨日の彼との会話で一番ボクが気になっているのはやはり麻薬の存在だ。
 あの時点で彼が麻薬のことについて何も喋らなかったのは、アレが未知の存在だったからだ。それは鑑識科でも半日かけて効能を解析できなかった事から見ても明らかだ。
 そして、あの後事件についての調書を当たってみた。するとその内容は麻薬を覗けば、一見なんの変哲もない誘拐事件だったのだ。
 その内容と言うのはこうだ。


 ――四月六日二十時頃、三丁目付近で誘拐未遂事件が発生。被害者は鹿島陽子。私立風芽丘学園に通う二年生の女生徒。彼女が何時ものようにクラブ活動を終え、帰宅の途中にその事件が起こる。犯人の背格好は彼女の証言によると、身長百七十センチ前後で、坊主頭。全身を黒い色の服装で覆われていた為、近くに来るまで全く気がつかなかったらしい。未遂に終わったのは、事件が発生してからすぐに駆けつけた男の力を借りて撃退した為。男の名前は佐藤秀二。同校の三年で生徒会長を務める男子生徒。通報者も同人物だった。その際、犯人の持ち物と思われる遺留品を発見。ビニール袋に包まれた白い粉状の物質だった。


 コップになみなみ注がれた牛乳をゆっくりと持ち上げ、半分になるまで一気飲みをする。すると、頭の痛みが少し和らげられたような気がした。少し考えすぎだという事なのだろうか。
 椅子を引く音がしたので周りを見ると、学生達はすでに食事を済ませており、学校に向かおうと席から立ち上がるところだった。
 学生達に一言何か言って置こうと思ったが、それはボクのキャラじゃないような気がしたのでやめておくことにする。


「みんな急ぐのもいいけど、気をつけていけよ」


 ボクの思っていたことを耕介が一言で言ってくれた。これも予想通りだったので口を挟むつもりは毛頭なかった。
 トーストを一口かじる。


 ――彼らの証言をボク自身で聞いておいた方がいいのかもしれない。


 少し気になる。
 おそらくは今回が初犯ではないだろう。と言う事は、それまで誰にもばれずに犯行を重ねていたことになる。
 今日は署で関連のありそうな事件を片っ端から調べることになりそうだ。署内にある膨大なデータベースを想像すると、それだけで再び頭が痛くなってくる。
 依頼を受けた以上、きっちりとこなすがボクの信条だ。
 最後の一切れを口に放り込むと、少しでも時間を無駄にはしていられない、と椅子を蹴るように立ち上がった。


「耕介。今日は少し遅くなりそうだから昼食と夕食はいらないよ」

「わかった。リスティも無茶せずに気をつけろよ。お前も女の子なんだから」


 臆面も無くそういう事を言う耕介に少し戸惑う。
 茶化されたままではボクのプライドが許さないので少し反撃をしておく事にした。


「そんなことだから耕介はその年になって彼女のひとりもできないんだ」


 洗い物でかちゃかちゃしてた音が一際大きくなった。見ると耕介が大きな図体を折り曲げて肩を少し震わせていた。


 ――ボクをからかうからそうなるんだ。


 その姿に満足したボクはキッチンを後にするのだった。










 行方不明者と言う文字に矢印を合わせ、カチカチとダブルクリックをする。すると画面には幾人かの名前とプロフィール等が画面に表示された。
 それらの名前をボクは一人一人チェックしていく。ボクの予測が正しければ何か手がかりを見つけることができるはずだ。
 丁度真ん中まで見終わった所で、左手でゆっくりと前髪をかきあげる。これはもしかするとビンゴなのかもしれない――そう思うと残りをゆっくりと読む気になれず、一箇所だけ注目しながら残りにとりかかった。

 最後まで見終わったところで、不謹慎とは思いながらもボクは画面に向かって笑みを浮かべる。やはりボクの予測通りだったのだ。
 となれば今日の夜、さっそく行動に移さねばなるまい。何時ものようにやればおそらくは大丈夫だろう。そのことについては何も心配はない。だけどボクが今一番考えなければならない事は別にあった。


 ――さて、夜までどこで時間を潰そうかな。










 気がつくとボクはここに足を進めていた。まるで日課のように。その事実にボクは苦笑しながらも認めてしまっている自分に気がつく。
 そこは商店街にある評判の店――翠屋だった。
 ここへは学生の頃からちょくちょく訪れている。若い奥さんの作るデザートはまさに絶品。近所の女学生の支持を大変に受けている評判の店なのだ。
 ここへ来ている理由は味が気に入っているだけではない。知り合いがウェイトレスとして働いているからだ。名前はフィアッセ・クリステラ。実のところ彼女はこんな所で働いていられるような人間ではない。名前が知られていないからこそ働けるものの、彼女は世界的に有名な歌手を親に持つ娘なのだ。

 ボクは扉に手をかけ、ゆっくりとそれを引いた。カランカランと言う小気味いい音と共にゆっくりとそれは開かれていく。
 それに気づいた金髪のウェイトレス――フィアッセ・クリステラが何時もの優しい声をかけてくれた。


「いらっしゃいませ――って、リスティ今日も来たんだね。お仕事の方大丈夫なの?」

「Hi、フィアッセ。今日も何時も通り休憩さ」


 周りを見回してみると、今日の客の量はそうでもないようだ。土曜日の昼過ぎなのだから学校帰りの子たちで溢れかえっていてもおかしくないはずなのに、客と言えば隅のテーブルに三人見かけるくらいだ。
 そういえば最近は学校も週休二日制になったんだったかな。


「フィアッセ、ホットお願い」


 そういうとフィアッセは承知と言わんばかりの笑顔をして、裏に引っ込んでいった。環境のせいか、フィアッセはよく笑うようになった。いい傾向だ。
 ボクは店内がよく見渡せる席に座る事にした。この位置からは彼らの姿もよく見える。見た感じどうやら学生のような風貌だ。この当たりで学生と言うと風芽丘の学生だろうか。もしかすると生徒会長とやらをよく知る子たちかもしれない――いや、それは考え過ぎか。
 彼らの顔を見て少し既知感を覚える。茶髪の男の子はともかく、向かいに座っている黒髪の男の子と女の子はどこかで見た事があったろうか。
 丁度そんなことを考えている時に、フィアッセがコーヒーを持って現れた。


「はい、リスティ」

「Thanks」


 コーヒーを一口すする――うん、美味しい。
 フィアッセが中々離れないので、彼女の方に視線を上げる。


「――ん、どうした?」

「いや、珍しくリスティが他人を気にかけてたから」


 そう言われて初めて自分がコーヒーを飲みながら彼らを眺めていたことに気がついた。


「あぁ……どこかで彼らを見た事があったんだけど、それが思い出せなくてね。いやいや、年は取りたくない」

「それはそうだよ。あの黒髪の男の子と女の子は桃子の子どもだもん」


 桃子と言うと、確かこの喫茶店のマスターだったかな。それじゃ見た事がある訳だ。でも今はそれよりも。


「フィアッセ。答えを教えてくれたのは嬉しいけど、後半のセリフを少しは否定して欲しかったんだけどね」

「フフ。リスティには少し危機感を持って欲しくて、つい。リスティ美人さんなのに浮いた話が一つも聞こえてこないんだもん。フィリスじゃなくても心配するよ」


 悪戯っぽい笑顔から聞き捨てならない言葉が飛び出してきた。


「何? フィリスのヤツがそんなことを言ってたのか? ボクに言わせてみりゃ逆だ、逆。顔こそボクと同じ美形だが、スタイルが全然駄目じゃないか。それにボクは彼氏ができないんじゃない。作ってないだけだよ」

「……ハハ、相変わらずフィリスには厳しいんだね」

「姉の優しい心使いと言うヤツだ」











 もうすっかり暗くなった路地を一人歩く。月明かりと街灯の明かりだけがボクを照らしている。
 ボクの予想だと、大体この時間にこの場所を歩いていれば何らかの手がかりが得られるはずだ。操作に乗り出した今日さっそく事件が起こるというのは期待していないが、毎日続けていればいずれその場面に遭遇するはず。

 さて、一体ボクは何故この場所にいるのかと言うと、今日署内で見つけた手がかりがこれに起因している。その手がかりと言うのが、行方不明者のプロフィールだ。そして重要なのが彼らの住所だ。
 彼らの住所は海鳴にあるものの、同じ町内の者もいるが基本的にはバラバラになっている。だが、彼ら行方不明者は皆帰宅途中に必ずこの場所を通過するのだ。誰一人例外なくここを通らねば家へと帰れない。ここはそのような場所だった。


 ――さて、じっとしていても怪しまれる。この辺りを適当に歩いてみるか。


 そう思った時だった。


「お! お姉さんこんな所で何してるの?」


 後ろから少し浮かれ気味の声が聞こえてきた。声の届き方から少し距離が離れていることがわかったボクはゆっくりと――彼らがそうしたように――後ろを振り返った。
 そこにはボクと同じか、少し年上くらいの風貌をした美形の男が立っていた。その男はこの場に似つかわしくない爽やかな顔をしながらこちらに近づいてくる――これはもしかするとビンゴかな?


「お姉さん、一人でこんな所を歩いてると危ないよ? 家どこだい? 俺が送っていってあげよう」


 予めピアスを外していたボクには彼の本音が手に取るようにわかった。


(くく、こんな所にまたカモが居たよ。今回は前と違ってすっげぇ美人だし、ヤク打つ前にちょっと楽しませてもらってもバチは当たらねぇだろ)


 そんなつまらない感情に心の中で舌を打つ――所詮人間なんてこんなモノか。耕介たちが特別なんだろう。
 そう思いつつ、ボクは少し猫を被ってみる。


「あら、そうですね。私も少し怖いと思ってたところなんです。でも貴方のような素敵な男性がいれば安心ですね。申し訳ないですが、すぐそこまでなので送ってもらってよろしいでしょうか?」


 左頬に手を添えながらそんな嘘を言ってみた。この時少し舌を見ながら伏せた目元がポイントだ。


「いや、元よりそのつもりさ。俺は君のような困った人をほっとける性質じゃなくてね」


 男はボクの肩に手をやりながら口元を少しほころばせて言った。


(ケ、この女馬鹿だぜ。よく今まで誰にも拉致されてなかったよな。ま、その方が俺にとっちゃ好都合だがな)


 全く持ってその通りだと思う。こんな軽々しくOKを出す女等、馬鹿とした言いようが無い。
 男は私の腰に手を回し、ゆっくりと歩き始めた。仕方なくボクは男と一緒に歩く格好となる――早く終わらせる為にも、もう少し積極的に誘ってみた方がいいな。
 そう思ったボクは男の身体にゆっくりともたれる。


「あ、すいません。夜道が少し怖いもので……」

「ああ、いいよいいよ。怖いならそのままでいいから。さぁ、行こう」


 腰に回された手はそのままに歩き続ける。


(うお、こりゃいいぜ。この姉ちゃん、乳でけぇ)


 腰に当てられた手が少しずつ下の方に下がっていく。


「あ……その……えっと……」

「ふふ、どうしたんだい?」


 男は爽やかな笑顔をそのままに手をゆっくりと動かしている。この状況で猫を被り続けているボクもボクだが、こいつもこいつで中々に凄いのではないだろうか。
 顎を男に持ち上げられる。自然とコイツと見詰め合う格好となる。


(おお! こりゃ俺一人だけでも行けんじゃねぇか!? だが、もう予定の場所に着いちまったな。しゃあねぇや)


 ――え?


 その時、口をタオルか何かで塞がれた。


「ん!? んん!!」

「ハハハ。何言ってんのかわからねぇよ」


 ――まずい、タオルに何かが仕込まれてる……読み違えた……


 ありったけの力を込めて男から離れようとする。だが前でボクを抱きしめてる男だけじゃなく、背後からも口を押さえられている。ボクの力だけじゃとても脱出できない。


 ――クッ……クソ!


「ヒャハハ、次目覚める時をお楽しみにな」











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――あとがき――
 リスティ視点第二話、如何でしたでしょうか?

 二つの視点でこの話は分かれている訳ですが、それぞれ感想を送ってくださった皆様。ありがとうございました。

 では、次の話でお会いしましょう。
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  1. 2005/09/06(火) 21:54:17|
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