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手のひらの中の奇跡 -リスティ視点 第三話-

 ―4月9日―

 リスティ視点 第三話










 ボクの目の前を先ほどから幾人もの人間があわただしく通り抜けていく。寝不足の頭には少々この騒ぎはつらい所だ。
 結論から言おう――ボクは助けられたのだ。
 ボクと同じく寝不足のはずなのに、憎らしいほどに爽やかな笑顔を周りに振りまいているこの男に。
 そう、私立風芽丘学園生徒会長佐藤秀二の手によって。

 話は少し遡る。
 ボクは思いもよらぬミスで犯人に襲われてしまった。後から聴いた話であるが、ボクは十数分程眠らされていたようだ。
 事件はその空白の十数分の間に解決していた。
 どうやら偶然ボクが襲われている所を通りかかった彼が犯人たちを撃退し、警察に通報したとの事だ。









 ――ん……


 頬が叩かれている。


 ――さっき寝たばかりなんだ……もう少し寝かせてくれても……


 眠る前の出来事を思い出す。
 その瞬間、ボクの意識は一瞬で覚醒した。


「あ、気がつきましたか? お姉さん」


 目を開けて最初に飛び込んできたのは男の顔だった。
 見た所高校生くらいだろうか。逆さに見えたその顔は、誰が見ても爽やかと取れる笑みを浮かべている。
 状況が良くわからない。
 ボクは犯人たちに捕まったのではなかったのだろうか。
 ゆっくりと身を起こし、辺りを見回すと、どうやらここは先ほどと同じ場所のようだった。ボクは道の端に寝かされていて、すぐ隣に男たちが倒れていた。男たちは二人で、片方は先ほど見た美形の男だった。
 一通り辺りの状況を把握した所でボクは振り返り、背後でしゃがみこんでこちらを見ている男に視線を合わせた。


「で、君は誰だ?」

「あぁ、私はそこに倒れている悪漢から貴方を助け出したナイトですよ」


 男は自分が紳士であるかのような振る舞いと共に、歯の浮くようなセリフを言った。何気に似合っている辺り恐ろしい。
 ま、確かにピンチだったんだ。助けてくれた事に対しては素直に礼を言っておこう。


「Thanks。助かったよ。結構危なかった」

「いえいえ」










 数分後、その場所にパトカーがやってきた。どうやら、ボクが倒れている間に通報してくれたらしい。
 そして朝方まで事情聴取やらで今に至る、と言う訳だ。


「そういえば、お姉さん」

「――なんだ?」


 自分でもはっきりとわかるような不機嫌な声で応答する。


「いえ、何でもないです」

「―――」


 何でボクはこんなヤツなんかに助けられたんだ――そう思った時、ある一つの疑問がボクの中に浮かび上がった。


 ――何でボクは、待ち伏せに気がつかなかったんだ?


 考えてみれば妙だ。
 確かに目の前の男一人に気を取られていた。それは認める。だが、それでもボクが気がつかない訳がない。
 何故ならピアスを外していたのだから。

 その時、背筋に薄ら寒いものを感じた。
 だってそうではないか。百歩譲ってボクの思念読みを回避できる術があったとしよう。すると今度は別の問題が生じる。
 私を先導した男は思念を読めたんだ。と言う事は、ボクをHGSと知った上で襲った、と言う事にはならないか?

 雑音に混じって鼓動の音が聞こえてくる。それは考えれば考える程、速まっていくのを感じる。少し酸素が足らない気もする。
 隣の男の感じ取られぬようにボクは呼吸を整えていると、待ちに待った扉がゆっくりと開かれた。
 扉からは何度か会った事のある刑事と、越野警視長が出てきた。彼らは一言二言こちらには聞こえない言葉を交わすと、刑事はボクたちとは逆の方向に歩いていった。
 警視長様自ら話さねばならない事が起きたのだろうか。


 ――杞憂だったらいいんだけどね。


 越野は無表情でこちらに歩いてくる。彼は無表情の時こそ、何か大事な事を考えていると言う事をボクは知っている。
 犯人たちから何か重要なことを聴けたのだろうか。
 彼はボクたちの前まで来ると、座っているボクに目線を一度合わせると、隣の男に向き直った。


「――確か、佐藤くんだったな。今回はそっちの不良娘を助けてくれたそうで、それも含めて協力感謝する」


 越野はそういいながら右手を出し、二人は握手を交わした。
 その後、幾つか質問に答えると、佐藤と言う男は帰っていった。
 そして彼に新たな事実を聞こうとしたが、どうやら今から話すことは漏れてはまずい話らしく、一路越野本部長の部屋へ向かうこととなった。途中、一見堅物そうに見える彼の口から恋愛についての話が出てきた時は驚いた。だが、それは彼なりの心遣いなのだなと気づき、心の中で一つ感謝の言葉を言った。
 そして、目的の場所にたどり着いた。


「スリップノット?」


 そう問い返したボクの言葉に、越野警視長は椅子に深くもたれながらゆっくりと頷いた。
 突然彼の口から出てきた言葉に、ボクはオウム返しのように問いかける事しかできなかった。
 それはこの場所でそのような言葉を聴かされるとは思ってもいなかったからだ。


 ――スリップノット。
 和訳すると、引き結びという一方を引けば片方が解けると言う結び方の一つであるが、ボクたち警察関係者の中ではもっと馴染み深いモノで表すことができる。
 それは、ロープで作ったほどけないリングにロープを通して大きな輪を作り、ロープの端を引っ張ると、その大きな輪が縮まる、と言った風に使用されるモノなのであるが、問題はこれがどんな場面で使われるかだ。
 心して聞いて欲しい。
 どんな場面で使われるか、それは――絞首刑だ。
 ボクにはこの先を言葉にする事ができないが、だからこそ聞き返さずにはいられなかった。


「それが犯人の口から出てきた言葉だ」

「―――ッ!」


 再び彼の言葉に驚かされる。今度は言葉を発することすらできなかった程だ。


「さして重要視すべき事ではないのかもしれないが――俺のカンはそうは告げていないのでな」

「それはつまり――」

「そういう事だ」


 こういう時、改めて目の前の男を恐ろしいと感じてしまう。彼の負の方向に向けられたカンは否応なしに当たるのだ。
 ボクは渋面にならないように精一杯無表情を作り、踵を返した。もう彼から聞く必要はない。
 扉を開こうとした時、背後から椅子の軋む音と共に彼の声が聞こえてきた。


「そうだ。鑑識のヤツらが昨日の薬物の件で話しておきたいことがあるそうだ。この後行ってみるといい」

「――Thanks」


 ボクにいえる言葉はその一言だけだった。









 鑑識課に着くとそこには男が一人椅子に座っていた。男はボクに気づくと立ち上がり、机の上においていた紙を手に取りこちらに歩いてきた。


「リスティさん。いらっしゃい」

「あぁ、それで何か話しておきたいことがあるんだって?」

「えぇ、これを見てください」


 目の前に差し出された紙を掴む。
 そこにはこないだの麻薬の効能について詳しく記されていた。


「――意識不明?」

「えぇ、流石に実験はできませんが、計算上ほぼ確実にそうなるはずです」


 低く通るようなその声に、ボクは少し顔をしかめる。


「そんな麻薬を作って、何か利点でもあるのか?」

「知りませんよ。私が作った訳じゃないんですから。でもまぁ、これは麻薬と称するのもどうかとは思いますけどね」


 出されてきた資料に少し負に落ちない感じはしたが、ここでそれをとやかく言っても仕方ない。
 そう思ったボクは取りあえずその結果を信じておくことにした。


「リスティさんはこれから家に帰って爆睡ですか?」

「Yes。どうにも眠くてね。こんな状態じゃロクに捜査できやしない」


 男の言葉で場が少し明るくなる。それにボクは心の中で少し感謝をし、愛する我が家へと帰宅することにした。


「じゃあボクは帰ることにするよ」

「えぇ、お大事に」


 持っていた資料を男に返し、部屋を出ようと後ろを振り向いた時だった。


 ――ん?


 何故かその時、強烈な違和感を覚えた。
 何かがおかしい――そんな違和感。
 視線の先には何故か扉の前にかけられた一枚の鏡がある。鏡には何時もより目元が細くなっている自分の姿が映し出されていた。


 ――何かが違う……


 鏡で映し出されたそれは眠気のせいで目つきが悪くなっている事以外、どこも違ったところはないはずだった。
 だが、どこかが違う。


「リスティさん? 大丈夫ですか?」

「い、いや……何でもないんだ」


 男の言葉にそう返したものの、違和感が消えた訳ではなかった。
 しかし、このままこうしている訳にもいかない、というのも事実だった。
 結局ボクはその違和感を無視し、鑑識課を出て行くのだった。


 ――この違和感に気づくのは、もう少し後の話になる。











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――あとがき――
 第三話如何でしたでしょうか?
 今回は、恭也視点より先にリスティ視点を書かせていただきました。
 理由はいろいろあるのですが、一番の理由は時間軸を揃えようと思ったことです。
 とりあえず、そろうまでリスティ視点を中心に書いて行くつもりです。
 では、次のお話でお会いしましょう。
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  1. 2005/09/12(月) 04:16:44|
  2. とらいあんぐるハートSS|
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文学・評論

久々に本を読みながら涙が流れました。何の特別な存在でもない。同じ時代を生きたひとりの人間、それをとりまく家族。たぶん・・どこにでも転がっているようなよくある話。でも、正直参りましたm(__)m親を思う気持ち、子供を思う親の気持ち。その状況や気持ちは日々変化して
  1. 2005/10/15(土) 16:32:03 |
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