私の書いたオリジナル小説およびSS等を乗せていくサイトです。
なお、このページはリンクフリーです。

とらハSNS

蒼香雪さん主宰でとらハSNSなるものが始まっております。
とらハのSS関係者によるソーシャルネットワーキングシステムですね。
ぜひ、読者の方も作家の方もご参加ください。
こちらのSNSで私の長編の連載を始めております。
タイトルは「とらハde鬼ごっこ」
気になりましたら、以下のページへどうぞ
http://thrss.p.cmssquare.com/

更新情報



内部リンク

小説を見る時は、こちらの内部リンクからどうぞ。

感想

SSや小説等の記事について感想がありましたら感想フォーム感想用掲示板に。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


この小説が気に入った方や感想があれば、下のボタンをお願いします。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告|
  3. トラックバック(-)|
  4. コメント(-)

手のひらの中の奇跡 -リスティ視点 第四話-

 ―4月10日―

 リスティ視点 第四話










 蛇口を捻る。出てきた水を掬い取り、それで顔を洗う。
 幾度かそれを繰り返したボクは顔をあげ、目の前にある鏡を見た。
 そこに映りこんだのは見慣れたボクの顔だった。
 ただ違うのは、前髪と顔が水で濡れているだけでなく、目元にうっすらと浮かんだ隈だった。
 それを見たボクは、一つ溜息をついた。


 ――まったく、考えすぎだ……


 昨日は寝床に着いても越野の言葉が頭に浮かび、中々眠れなかった。やっと寝付いたかと思えば一時間程度で目が覚めてしまう。
 結局、ほとんど眠れない状態で晩御飯を食べることになった。
 ボクの様子に耕介たちは心配をしていたが、彼らを巻き込む訳にもいかず、なんでもない、というしかなかった。

 鏡を見ていた視線を下に向ける。
 延々と流れ続ける水がボクの頭をクリアにさせる。


 ――越野め……やっかいな事件を回してくれたな……


 ボクを襲った犯人が言った言葉――スリップノットとは事件に関係のある話だろう。おそらく何か事件に関して重要な事、あるいはモノを指し示す名詞に他ならない。
 いや、そんなのは決まっている。その名前を聞いた時点で越野も気づいていたはずだ。


 ――考えていても仕方ないか……耕介たちが起きてくる前にこの隈をなんとかしよう。


 クリアになった思考を一旦外に追い出し、ボクは再び水をすくい、それをおもいっきり顔にたたきつけた。










「リスティ? 憂鬱そうな顔だけど、何かあったの?」


 顔をあげるとそこにはフィアッセの姿があった。
 それも当たり前だ。ここは翠屋なのだから。


「Yes。やっかいな事件に巻き込まれてね」


 胸元から煙草を出し、口にくわえる。
 愛用のジッポを取り出したところである事に気づき、ジッポをしまうことにした。


「Sorry、フィアッセ。危うく君の前で煙草を吸ってしまうところだった」

「そんなに気にしなくてもいいよ。で? 何にする? コーヒー?」


 フィアッセの気遣いに少しボクは笑みを浮かべた。


「Yes。ブラックでお願い」

「ありがとうございます♪」


 女のボクから見ても美しいと思える笑顔を浮かべながら彼女は厨房の方に向かっていく。
 昔のフィアッセはとある出来事で声が出なくなる程沈んでしまった事があると聞く。
 そんな彼女がここまで美しい笑顔を浮かべる事ができるようになったのは彼女の幼馴染にボクは感謝をする。


 ――フィリスもフィアッセも大丈夫だね。ボクみたいなのは一人だけでいい。


 顔も見た事のない彼女の幼馴染にボクは心の中で礼を言った。


 ――ま、今はそんなことよりも考えないといけないことがある。


 あの麻薬――おそらくはスリップノットと言う名のあの薬は鑑識によれば人を意識不明状態にするという。分量については聞いていないが、彼らの調べなのでまず間違いない事だと言える。
 だが、ここで一つ疑問が生まれる。
 麻薬が麻薬としてばら撒かれるという事は、そこに何らかのメリットが存在する。
 アッパー系でもダウナー系でもない効果を持つスリップノット――どこの誰がそんなものを欲しがるというのだ。
 そこから繋がる事だがもう一つ。
 犯人達と直接対峙した経験から考えて、ヤツらはその麻薬を売りさばく訳でなく、人々を襲って注入している。


 ――ヤツらの目的は人々を意識不明にさせることなのだろうか。


 そこまで考えた時、目の前に湯気の出るコーヒーが現れた。
 顔をゆっくりとあげると、そこにはフィアッセでなく男の店員が居た。


「――ご注文は以上でしょうか?」

「Thanks」

「――ごゆっくり」


 まるで店員とは思えないような無愛想な言葉を放ち、男はそこから立ち去って行った。
 男の洗練された後姿に少し感心する。


 ――確かこの男……こないだここで見た男だったな。店員だったのか。


 目の前に置かれたカップを手に取り、ゆっくりとそれを口に運ぶ。


 ――越野に一応これを報告しに行くか。


 カップを元に戻し、胸元から取り出した写真に目だけを向ける。
 そこには真新しい制服を着た女の子が写っていた。
 それを元に戻し、残っていたコーヒーを一気に煽った。舌が熱で少しぴりぴりする。
 周りを見渡すと、日曜の昼と言う事もあり、店内は客で賑わっていた。
 ボクは財布から一枚お札を抜き取ると、それを伝票と一緒に机の上に置いた。


 ――今月、厳しいんだけどねぇ。


 今まだ賑わう店内を横目で見てから、ボクは翠屋を後にした。










「なるほど――」


 ボクの報告に越野は興味のなさそうな様子で写真を机の上に放り投げる。
 それに露骨な反応をしてしまったボクの顔を見て、越野は薄く笑った。


「くく……そんな顔をするな。美人が台無しだぞ?」

「――で、ボクの報告に対して意見を聞いておきたいんだけど?」

「ん? あぁ、その写真の女が事件に巻き込まれたかもしれない、とか言う話か?」

「Yes。あくまでボクの予想だけど、あの近辺で起こっている失踪事件は全てこの事件に関わっているかもしれない」


 越野がくわえている煙草が少し揺れる。視線は写真よりも少し前の何もない机の上に向いている。
 すると越野はくわえた煙草を吹きだし、写真にぶつけた。


「そんな事よりも、お前に言っておきたい事が二つある」

「――なっ!?」

「一つ、これは昨日言い忘れた事だ。確かに俺はお前の捜査方法に何時もどおりやれ、と言った。だが、あんな危険な事はやめる事だ。次はないぞ?」


 越野はそう言いながら、ボクと視線を合わせてきた。
 ボクが何か返答しない限りその視線を放す様子はない。
 何か返答しないといけない、と少し思案を始めた時、越野は再び薄く笑うと、あっさりと視線を外してくれた。


「それと、次が重要なのだが――」


 机に捨てた煙草を持ち上げ、それの尻に指を当て、そのまま机に突き立てた。


 ――なんだろう……何時もとボクを見る目が違う?


 その目は今ボクの方に向けられている。
 だが、ボクの記憶が正しければ、この男はこんなにごった目をしていなかったはずだ。


「昨日、私立風芽丘学園に勤める沢田という英語教師が意識不明で倒れたらしい」

「―――!」

「その教師が運ばれた病院で検査結果を見せてもらったが、おそらくは例の麻薬の仕業だ」

「それは確実なのかい?」


 ボクの言葉に彼が少し視線を下げた。
 そして再びボクの顔に視線を向けた。


「カンだと言ったらどうする?」

「惚れちゃいそうになるね」

「安心しろ。俺はお前みたいな小娘はタイプじゃないんだ」


 そこまで言うと、ボクは越野と一緒に笑い始めた。
 そしてお互い笑いが静まった所で、彼の目が変わった。


「――依頼だ。風芽丘学園に潜入捜査をして欲しい」

「断る理由はないね」

「すでに学園の方には、お前が明日臨時講師としてそちらに向かう、という事を言ってある」


 ――学園関係者である可能性もある……いや、高いと見ているのか。


「報告は口頭でここまで来るように。一日一回だ。何か質問は」

「ボクの担当する教科は?」

「もちろん英語だ」

「今回の仕事の最優先事項は?」

「――麻薬流出のストップだ」

「わかった、引き受ける」

「必要資料についてはお前の家の方に送ってある。それを参考にしろ」


 その言葉に首を縦に振る。
 もうここでの用はすんだな――そう思ったボクは踵を返し、明日の用意をすることにした。
 それは、帰ろうとドアのノブに手をやった時だった。


「すまん、後もう一つ」


 そのセリフに顔だけ後ろを向ける。


「――お前……気づいていないのか?」


 その言葉の意味がわからなかった。
 一体この男は何のことについて言っているのだろうか。


「ならいいんだ、明日学園の帰りにでも報告してくれ」


 ボクは越野の言葉が少し気になったが、今聞いても教えてくれるとは思わなかったので、そのまま扉を開けて表に出て行くことにした。











この小説が気に入った方や感想があれば、下のボタンをお願いします。

 ――あとがき――
 リスティ視点第4話いかがでしたでしょうか?
 何とか、恭也の話に追いついてきましたね。

 後、感想の件ですが、誤字の指摘ありがとうございました。
 では、次のお話でお会いしましょう。
スポンサーサイト
  1. 2005/09/26(月) 01:54:45|
  2. とらいあんぐるハートSS|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:0
<<手のひらの中の奇跡 -恭也視点 第三話- | ホーム | 手のひらの中の奇跡 -リスティ視点 第三話->>

コメント

この記事(小説)が気に入った方は、是非ご感想を

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://kirishiro.blog10.fc2.com/tb.php/36-410aa6a7

TOPへ戻る


霧城昂

09 | 2017/10 | 11
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

Search

Category

Recent Entries

Archives

Recent Comments

Recent Trackbacks

Links

Other

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。