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手のひらの中の奇跡 -リスティ視点 第6話-

 ―4月11日―

 リスティ視点 第六話












 無事午前中の業務を終えたボクは、今自販機で熱いコーヒーを飲んでいた。
 周りは長ったらしい授業が終わり、束の間の休息をめいっぱい楽しもうとする生徒たちで溢れていた。
 中にはボクが午前中授業を担当したクラスの子たちも居て、ボクを見かける度に挨拶をしてくる。そんな彼らの姿を見て、ボクは先生と言うのも悪くないな、と思ってしまう。
 だが、決して当初の目的を忘れた訳ではない。ただ、こういった楽しみも無くてはやっていられないだけだ。


 ――ま、何も手がかりを見つけちゃいないんだけどね。


 ボクは紙コップの残り少ないコーヒーを一気に飲み干し、それを握りつぶしてゴミ箱に投げ入れた。
 午前中の空いた時間に適当に食事を取ったボクは何かを食べにこの食堂に来た訳ではない。コーヒーでも飲んで一服しておきたかった事と、食堂は今どんな感じになっているのだろう、と言う純然とした興味からだった。
 その用事を終わらせたボクは当然ここに居る必要はない。
 だから職員室に帰ろうと後ろを振り返った時だった。前方に見覚えのある姿を見つけたのは。


 ――アレは……フィアッセの知り合いの……確か恭也だったかな。


 その高町恭也は丁度階段を降りて来た所らしい。
 どうやら何かの理由でスタートダッシュに遅れたのだろうか――かわいそうな事だ。
 そこでボクは一ついい考えを思いついた。


 ――フィアッセの知り合いならば信用できる。


 ボクは彼に自分の立場を少し匂わせることを考えたのだ。
 無論これだけで事件が解決の方向に進むとは考えていない。ただ単に、彼に興味が沸いただけだ。
 しかし、普通に協力を要請する訳にはいかない。ボクも立場が立場だ。事件が絡んでいる、という事を匂わせるだけでいいだろう。


 ――それに、一方的に忘れられていると言うのも悔しいじゃないか。


 そう、一番の理由はボクの悪い癖である、悪戯心なのだ。
 ボクはそう決めると、彼の方へ足を踏み出す。
 すでに彼はボクの姿に気づいていたらしく、ボクが近寄るのを無表情な顔でこちらを見ている。そんな彼にボクは笑みを浮かべて、口を開いた。


「確か、高町くんだったかな」

「はい」


 顔に少しの変化もなく、ただ無表情な顔でそう彼は返してきた。
 ボクは胸元からタバコと携帯灰皿を取り出す。禁煙とはわかっているが、タバコを吸うのはこの場に必要なファクターだ。


「少し時間いいかな。君と話しておきたいことがあってね」

「――俺と……ですか?」


 彼は少し怪訝そうな顔つきで言う。
 まぁ、ボクが彼と同じ立場でも同じような反応を示すだろう。だが、わかってはいるものの心では割り切れないモノがある。


 ――せめて、もう少し愛想良くできないものかな。


 そう思い、ボクは常備してあるライターを袖口から取り出す。


「ああ、そうだ――と、失礼するよ。これがないとどうも駄目でね」


 ボクはタバコを口に含み、それにライターの火を近づける。やがてタバコから煙が立ち上がり、ボクは紫煙をおもいっきり肺の中に吸い込んだ。そして、それをゆっくりと吐き出す。
 その一連の動作を終えた後、再び彼の顔に視線を戻すと、彼は何故か深呼吸をしていた。
 彼は少し緊張しているようだ。もしかすると、彼は少し照れているのだろうか。
 ボクはそれに気づくと、顔には出さないものの、少し嬉しく感じた。


 ――落ち着いているようで、案外ウブなんだね。可愛いトコあるじゃないか。


 ボクは内心ほくそ笑んだ。
 そして、この時間に彼が食堂に向かっていたことを思い出した。


「さて、あんまり時間を取らせても可哀想だ。手短に話すよ」


 彼は落ち着いたのか、少し顔をひきしめた。ボクの態度から、真剣な話だということに感づいたらしい――いい勘をしている。
 そして、言葉を選び、これが最適だろうと言うモノを口にした。


「最近、この学校では原因不明の病気が流行っているそうだが。かく言う私もそれが理由でここに来た訳なんだけど……君、何か気づいていないか?」

「―――ッ」


 彼は露骨に反応を示してくれた。
 まさかビンゴだったとは思わなかった。ここの所不運続きだったボクはまだ天に見放された訳ではないようだ。
 チャンスと思い、予定以上のところまで踏み込むことにした。


「そうか、結構。今の君のリアクションで大体わかった。なら改めて君に説明する必要はないと思うが――アレは病気ではない。何者かが引き起こしている犯罪だ」


 彼は目を見開き、ボクを何者なのか、と言う目で見ている――少し眼光を強くしすぎただろうか。加減が難しい。


「それを俺に話して、どうされるつもりですか?」


 少し震えた声で彼はそう返してくる。


 ――もしかしてこの子が犯人? いや、まさかな。フィアッセの知り合いがこんな真似できる訳がない。しかし、この反応は事件だと知っていなければできない反応……でも、これ以上はここで追求するのは無理か。


 ボクは彼に向ける眼光を和らげることにした。
 そして、先程より柔らかな口調を心がけ、口を開いた。


「いや? 特に何かをしようという訳じゃない。少し君の反応を見ておきたかっただけだよ。君は中々に面白い人間のようだ」


 ボクは少し笑いながらそう言った。
 これは本心からの答えだ。アレが事件だと気づいているのなら黒であれ、白であれ、面白い人間だ。今日はそれで満足しておこう。


「これから先が楽しみだ」


 思わずその言葉が口から飛び出した。
 これは迂闊。ここまで喋るつもりではなかった。
 だが、今更後に引く訳にもいかず、ボクはこのイメージを貫く事にした。


「ハハ、そう怯えなくてもいい。悲しくなるじゃないか。別にとって食おうって訳じゃない。まぁ、今日は君と話せてよかった。では、また授業で。See you」


 ボクは怯える彼の横をゆっくりと通り過ぎ、そのまま振り返らずに歩いていく。
 確かに一般人からすればボクの目は怖いのかもしれないが――ま、仕方ないことなのかもね。

 空を見上げると曇りなき青空が広がっている。まるで、先程の彼のように純粋な空だった。


 ――ボクにもあんな時代があったのかな。


 今更誰かに聞くわけにもいかない事を思い、ボクは首を左右に振り職員室に戻ることにした。











 そして午後の業務も終え、職員室で帰る用意をしていた時だった。
 ボクは慣れない仕事に少し疲れていたものの、教師という職業は中々面白く、心地よい疲れというものを感じていた。
 周りの先生たちとの色々な世間話も楽しかった。
 所詮臨時講師と言う立場のボクには残業なるものはない。だからボクはこれから越野の所に報告を兼ねて文句を言いに行こうとしていた。
 その時、背後で聞き覚えのある声が聞こえた。


「失礼します」


 振り向くと、そこには風芽丘学園生徒会長の姿があった。
 彼に関しては午後の授業中に一度顔を合わせているので、特に驚くことはなかったが、まさかボクへの用事でここに来たとは思わなかった。
 彼は礼儀正しく一礼すると、まっすぐボクのところにやってきた。


「槙原先生、今日の授業に関して少し質問があってやって参りました」

「――そうかい。じゃあ表でコーヒーでも飲みながら聴こうじゃないか」

「奢りですか?」

「馬鹿を言うな」


 ボクは彼の意図がわからなかったが、学年TOPの秀才と言われている彼がたかだか学校の授業に関して質問をしにくるとは思えない。おそらくはボクがここに来た理由を聞く為にやってきたのだろう。
 全ては話せないが、丁度いい。彼とは少し事件について話しておきたかった。

 ボクは彼を連れたって職員室に外に出て、食堂の方に向かうことにした。あまり人に聞かれたくない話だが、表なら誰も気に止めることはないだろう。
 食堂までの道中、お互い無言で歩いていた。それほど真剣な用事のようだ。
 そして、お互いの飲み物を購入したところで、ボクは口を開いた。


「さて、佐藤くんだね。あの時はありがとう。で、今日は何のようだい?」

「いえいえ、ナイトならば当然のことです」


 あの時のような台詞にプラスして恭しい態度で彼はお辞儀をした。
 顔をあげると、先程の真剣な顔を打って変わって爽やかな笑みをその顔に映していた。


「今日あなたを尋ねてきたのは他でもない。例の事件のことです。おそらくあなたがここに居るという事は今この学園で起こっている謎の意識不明事件との関連性に気づいたのでしょう。ですから今更言うような事でもないのですが、一応。私もあなたと同じく、この事件はあなたを襲ったチンピラたちと関係があるでしょう」


 佐藤は芝居がかったような口調でそう言った。
 あの場にこの男は居たのだ。見抜けない方がどうかしている、というものだろう。


「そして、私はあなたにお願いがしたくてここにやってきました。お願いします。生徒会長としてこの事件を解決してください」

「それは言われるまでもないよ。ボクはこの事件を解決する為にここに来たんだ」

「そうですね。私の方も色々と学校内では人脈がありますので、そっちの方から調べることはあなたよりも簡単です。ですから、私が聞いた噂などはあなたに全て渡します。これなら、より早くこの事件を解決できるでしょう」


 佐藤は笑みを浮かべた顔を少しも変えずにそう言った。相変わらず変わった男だ。だが、その申し出は正直ありがたかった。


「それは助かるね。ボクは今日初めてここに来た。なので、そっちの方の情報収集には疎い。頼めるかな」

「もちろんです。できるだけ早くこの事件を解決しましょう」


 彼の差し出す手を握る。彼を百%信用した訳ではないが、情報をくれると言う申し出はありがたい。利用させてもらおう。


「で、今わかってることは何かあるかな」

「――そうですねぇ……今朝の話ですが、海中の体育教師までもが襲われました。という事は、犯人はかなり腕に自信のあるやつに間違いないでしょう」

「へぇ。その根拠は?」


 ボクの返事に先程のように芝居がかった仕草をする。


「それはですね。この学校は海中も含め運動は盛んです。なので、体育教師は全員なんらかの武道を修めています。そんな人を襲えるんだ。間違いないでしょう」


 佐藤の言葉を聞いて、ボクは一つ疑問に思う。だが、ここではそれを言おうとは思わなかった。


「確かに。それで人物が絞れると言う訳でもないが、警戒はできそうだ」

「あながちそう言う訳でもありませんよ」


 佐藤が異なる事を言う。


「それはどういうことだい?」

「その先生。天才的な護身道の達人なんですよ。先生以上の腕を持った学校関係者なんて片手で数えるくらいしか居ません」

「――なるほど」


 護身道とは自分の身を守る為の武道。その武道を修めている達人とまで言われる人間がやられたのだ。生半可な腕では襲えまい。


「で、目星はついているのかい?」

「―――」


 佐藤は今まで見たことのない渋い顔を見せる。


「これはあくまでその先生より強い人物、という仮定で出す答えです。これが百%その通りだ、という保障も私にはとてももてません。それでも構わないですか?」

「構わないよ」


 佐藤は目を閉じ、深く深呼吸をする。
 そしてそれが終わると、目を開き、真剣な顔でボクの方を見る。


「私が知っているのは二人です。他にもいるかもしれませんが……まず一人は昨年剣道のインターハイでベスト十六まで勝ちあがった、現3-Gの赤星勇吾」


 ボクの頭の中にその赤星くんの姿が浮かんだ。今朝最初の授業で担当したクラスに居た生徒だ。印象的なルックスだったので、忘れられるはずがない。
 なるほど、彼の体格ならば有り得る話か。


「そしてもう一人……」


 彼は少し言いづらそうな顔をしている。
 それが意味するところはすぐにわかることだった。


「現風芽丘生徒会長である。この私です」

「―――ッ」


 なるほど……ならば言いづらいのも理解できる。
 だからこそ、信じて欲しくないと言っていたのだろう。


「理解していただけましたか?」

「あぁ、今の話は参考程度にとどめておくよ」

「ありがとうございます」

「まぁ、今日はこれだけかな。他なければボクは帰るけど」

「あ、はい。後は私の方も追々調べていきます」


 そうして、ボクは彼と別れた。
 彼の話をもう一度思い出してみる。
 確かに、彼の話は納得できる部分がある。伊達に生徒会長をやっている訳ではなさそうだ。人望もあるだろう。だからこそ、ボクにも彼と協力する利点がある。


 ――でも、彼にはどこか信用できない部分があるね。


 そう、ボクはそのせいで手放しに彼を信用できていない。
 確かに彼はボクを助けてくれた。学校内でも信用の厚い人物だろう。


 ――あまりにも潔白すぎる。


 そう。彼はあまりに潔白すぎる。
 だからと言って、彼が犯人だ、と言うこともそれ以上に有り得ない。
 彼が犯人だとして、どうしてボクを救う必要があった。どうして今日事件解決の協力を要請に来た。
 犯人と考えると納得のいかない部分が多すぎる。
 だからと言って、手放しで信用できないのはただのボクの勘だ。彼を百%信用してはいけない、という勘だ。


 ――まだ、情報が少ないな。


 胸元からタバコを取り出し、それに火をつける。
 立ち上がる煙は風にゆられ、天に昇っていく。


 ――わからないことだらけだ。


 一筋縄ではいかない事件のようだ。












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 ――あとがき――

 リスティ編 第6話いかがでしたでしょうか。
 何とか15話程度で終わらせるように調整してますが、上手くいくかどうか。
 頑張っていくしかないようです。
 では、次のSSでお会いしましょう。
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  1. 2005/11/21(月) 22:25:53|
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