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手のひらの中の奇跡 -恭也視点 第五話-

 ―4月12日―

 恭也視点 第五話










 昨日のことが自然と頭に浮かぶ。
 佐藤は自分が聞いておこう、と言っていたが満足の行く答えを知る事ができたのだろうか。
 いつもの角を曲ると、太陽の光が直接俺の目に飛び込んできた。俺はたまらず目を細める。考え事をしていて、少し油断していたようだ。


 ――そういえば、もう春なのだな。


 街路沿いに植えられている桜の花が自然と春の訪れを感じさせてくれる。それらはとても綺麗で、俺に様々な思い出を思い出させてくれる。いい思いでもあれば悪い思い出もある。
 俺にとって春はそういう季節であり、よくよく考えてみると今回の事件もやっぱり春の出来事なのだな、そう桜は俺に感じさせてくれた。


 ――やはり佐藤ばかりに頼る訳にもいかないな。


 昨日の決意どおり、俺は一晩かけて独自に動く事を決めた。今のままではやはり情報は少ない。だからこそ、まずは情報収集だ。
 幸いな事に……今日も英語の時間はあるのだから――










 教室の扉を開く。するとそこには時間的にギリギリなこともあって教室内は賑わっていた。赤星は珍しく一人で自分の席に座って何かを考えているようだった。俺は迷わず、赤星の席へと足を進めることにした。


「どうした、赤星。考え事か?」

「ん? あぁ、高町か。例のことを考えてた」


 赤星は笑顔を見せてくれた。だが、その笑顔はいつもより精彩がなかった。俺に心配かけまい、と無理に笑ってくれたのだろう。


「そうか……実は俺も登校途中同じ事を考えていた」

「やっぱり、忘れられることじゃないよな」

「うむ」


 俺たちの間に無言の時が流れる。辺りは騒がしいはずなのに、ここだけがまるで別の国に来たような感じがする――俺はそんな事を思い、少し苦笑した。
 そして槙原先生のことが頭に浮かぶ。
 これは赤星に話すべきことなのだろうか。


「そういえば高町。ちょっと気になってることがあるんだが」

「どうした? 俺が答えられる事なら何でも答えるぞ」

「佐藤に聞いたんだが、昨日来た槙原先生の事……知ってるか?」


 俺は少し安堵する。
 自分から話すべきかどうかを悩んでいたところだったので、ありがたい。佐藤に感謝だ。


「あぁ、知ってる」

「やっぱりアレは本当のことなんだな」

「佐藤の言葉には何も疑う理由はない。俺も間違いないと思う」

「そうか……今日英語の授業あるだろ? 俺、顔に出ないかどうかちょっと不安なんだよな」


 赤星の不安ももっともである。
 この場合の最適な対応と言うのは、何も知らない振りをする事なのだから。


「お前なら大丈夫だ。何時ものようにしていればな」

「はは。高町に言われるとそんな気がしてくるのは不思議だな」


 そんな感じに空気が和んだところで、一時間目を知らせる鐘がなる。


「では、また後でな」

「ああ」


 俺は赤星の席を離れ、自分の席に向かう。
 そして自分の席に座り、カバンを机の横にひっかけたところで気がついた。


 ――月村が遅刻か……? 珍しいな。


 隣の席でいつも机に突っ伏している月村の姿が無かった。










 暗闇の中を一人歩く。辺りは静かで、聞こえるのは自分の足音だけ。
 立ち止まり、周りを見渡してみたところで確認できるのはどこまでも続く暗闇だけ。
 そんな事が無意味だと悟ると、俺は再び歩き出す。


「ここはどこだ?」


 口から出てきた言葉は暗闇へと消え、答えてくれる相手などいないことを教えてくれていた。
 そうして数分だろうか、もしかすると数十分は歩いたのかもしれない――はるか向こうにうっすらと光が見える。
 俺はそれを見とめると、それに向かって走りだす。
 景色は変わらず、光に近づく様子もない。もしかすると足がとんでもなく遅くなってしまったのではないか、そんな事まで思ってしまう。
 やがて息を切らし、その場に立ち止まってしまう。荒れた呼吸音だけが聞こえる。
 息を整え視線を前に戻した時、光は目の前にあった。
 俺は自然とその光の中を覗き込むようにして見た。
 そこには――片手のない月村の横たわる姿があった。










 視界には真っ白のノートが見える。
 俺はゆっくりと体を起こす。教室の前では、教師が淡々と授業を進めている。
 時計に視線を送ると、針は四時間目がもうすぐ終わる時間を刺していた。


 ――さっきのは……夢か……


 さっきの出来事が夢であった事を幸運に思い、俺は安堵した。
 そしてゆっくりと深呼吸を三度行い、息を整えた。そして、隣の席に目をやった。
 だが、その席は未だ空席だった。


 ――風邪でも引いたのか?


 知り合う前までは全く気にならなかったのに、知り合ってからは何故か一日欠席しただけで気になってしまう。
 先程の夢の事もある。夢だとわかっているが、タイミングが悪すぎる。何もこんな時にそんな夢を見なくてもいいではないか。


 ――むしろ理由は逆なのかもしれん。


 そう思った時だった。教室の扉がガラリと音をたてて開いた。
 そこには、少し照れた顔の月村が立っていた。










「ちょっと朝、色々あって来れなかったんだよ」


 月村の話にうどんをすすりながらうなずく。


「まぁ、大事無くてなによりだ」

「ふふ」


 月村も俺と同じようにうどんをすする。
 穏やかな雰囲気が流れる。こんな雰囲気は学校では久しく味わってなかったな、と。
 友人と二人で静かにうどんをすする――初めての出来事かもしれないな。


「なんか、いいよね。この雰囲気。はじめてだな……学校でこんな風に誰かと居る事ができるのは」

「――俺も……同じだ」

「あ、そうなんだ。赤星くんとは一緒にこうした事ないの?」

「あいつは人気物だからな。こうやって静かに食べてられない」

「なるほど」


 二人ともうどんに箸を伸ばす。
 熱々の湯気が何とも食欲をそそる。
 俺は少し笑いながらうどんを再びすすった。

 しばらく二人でうどんを食べていると、騒がしい食堂の中で最近知った気配を感じた。
 その気配はこちらに近づいてくる。おそらくは俺に用があるのだろう。俺は残りのうどんを一気にすすり、そちらの方に視線を送った。
 するとそこには案の定、山根さんの姿があった。
 彼女と視線が合う。すると、長い黒髪をなびかせて薄く笑みを浮かべた。


「高町さん。昨日ぶりですね」

「ああ」

「そちらの方は……」


 山根さんの視線の先には月村が居る。この二人は初対面なのだ。


「あぁ、俺のクラスメイトで友人の月村だ」

「そうですか。月村さんですね。はじめまして、私は生徒会副会長の山根です」

「――えぇ、よろしくね。山根さん」


 月村はそう言うと、何時の間にか食べ終わった器を持ち、席を立った。


「じゃあ高町くん。先に戻ってるね」

「ん? あ、あぁ」


 そして月村は足早に立ち去っていった。
 一体どうしたのだろうか。


「すいません……邪魔しちゃったみたいですね」

「ん? いや、そんな事もない。気にするな」

「――噂どおりの方ですね」


 山根さんの言葉に少し疑問を持つ。が、聴いても昨日の通り教えてはくれぬだろう。だから、ここは流す事にした。


「で、わざわざこんな所で話しかけてきたんだ。何の用だ?」

「えぇ、昨日槙原先生のところに行ってきたので、それについて少々」


 山根さんの笑顔で場が凍りつく。


「それなら場所を変えた方がよくないか?」

「いえ、これほど騒がしいのです。誰も気に留めないでしょう」


 長い髪をなびかせ周囲を見回す。その姿には月村とまた違った美しさがあった。


「それなら話を聞こう」

「端的に申せば、彼女はやはり白です。犯人ではなくて会長の想像通りの方でした」


 彼女の言葉に内心安堵する。それなら、午後の英語の授業も緊張せずに受けられるというもの。


「ただ、彼女は警察ではないようです。関係者ではあるのですが、フリーの協力者。探偵みたいな人らしいです。それも後方支援ではなく前線に向かうタイプの」

「ほう……槙原先生は何か武術の心得でもあるのだろうな。でなければ、前線で警察の仕事を手伝えないだろう」

「そう言う訳でもないようですよ?」

「――ん?」


 予想外の言葉に俺は疑問を持つ。武術を修めている訳でもないのに前線で活躍するタイプ。そんな人がいるのだろうか。


「高町さんは……HGSと言う言葉を聴いた事はありますか?」

「名前だけなら聞いたことあるな」

「まぁ、私もよくは知らないのですが、槙原先生はHGSと呼ばれる人種な為前線に出る事ができる、とか。会長が言うには、今回の件にはあまり関係がないらしいので余り気にする必要はないかと」

「――――」


 山根さんの言葉に少し考えにふける。
 槙原先生の謎にまた一つ謎が加わった。


 ――本当にそれは関係のないことなのだろうか。


 佐藤の言葉から俺は二通りの意図を感じた。
 一つは本当にこの事件には関係のない事。もう一つは関係あるが、俺は知る必要のない事だ。


 ――佐藤の言う事ならばどちらにしても大事にはならないのだろうが……


 何となく、俺は知っておかねばならない事なのだ、と感じた。


「教えてくれてありがとう。これで午後の英語の授業を安心して受けることができる」

「いえ、気にしないで下さい。約束でしたから」


 彼女の返事にうなずくと、俺は器を持ち立ち上がる。


「じゃあ俺はそろそろ教室に戻る。山根さんも急いだ方がいい」

「えぇ、では私も失礼します」


 彼女は頭を下げ、踵を返し先程と変わらぬ歩調で食堂をまっすぐ出て行った。
 俺はその後姿が見えなくなるまで確認すると、思い出したように器を返却口まで持っていった。










 彼女の少しハスキーな声が教室内に響く。
 そして俺は授業内容をノートに書き写す。隣の月村はすでに夢の中。相変わらず文系科目には興味のない奴だ。

 教科書を読みながら教室内をゆっくりと闊歩する。そんな槙原先生の姿を、俺は純粋に綺麗だと思う。


 ――しかし……HGSとは一体何なのだろうか。


 ノートに黒板の内容を書き写している間でもその事が頭から離れない。
 何故かその言葉がひどく気になっている自分に気がつく。
 視線を黒板から窓の外へと向ける。


 ――そういえば……俺はどこでHGSと言う言葉を聴いたのだろうか。


 名前は聞いたことがあるのに、意味を思い出せない。一体どのような状況でその言葉を知る事になったのだろうか。
 TVか、雑誌か……いや、そんな物ではなかったのだろう。何か大切な出来事があったような、そんな気がする。
 考えにとらわれ……俺は槙原先生が教室内を歩いていることを忘れていた。


「そこの色男。私の授業より空を眺める方が楽しいか?」


 教室内を笑い声が支配した。












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 ――あとがき――

 恭也視点 第5話いかがでしたでしょうか?
 色々なことに気を使いながらの執筆は中々疲れます。(笑
 誰も気がつかないような細かい表現を多々使用している辺り、私も無駄なことが好きな人間なんだな、と感じます。

 では、次回のSSでお会いしましょう。
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  1. 2005/11/28(月) 02:53:11|
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