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手のひらの中の奇跡 -リスティ視点 第八話-

 ―4月12日―

 リスティ視点 第八話












 そして昼休みが訪れた。ボクは耕介お手製のお弁当をバッグから取り出した。それを開けると、中には見覚えのある格好で食べ物が並んでいた。ボクはそれらを見て、少し昔を懐かしく思った。


 ――そういえば、弁当なんて高校の時以来じゃないか。アレから何年経ったのやら。


 そして職員室に帰る前に買っておいた緑茶のプルタブを開け、弁当と一緒に入っていたお箸で久しぶりの耕介の弁当に舌鼓を打つことにした。

 朝は授業が手一杯で事件のことについて考える暇が無かった。だからこの一人になれる昼休みはちょうどいい機会だ。少し、これからの行動について整理しておこうと思う。
 玉子焼きに手を伸ばしながら、ボクは考える。


 ――この事件の犯人は越野が言うように十中八九佐藤で間違いない。


 それに一応の上司である越野からもそうするように命令されている。いくら捜査方法は一任されているからと言って、越野の言葉を完全に無視するわけにはいかない。それに越野の考えは勘から来ているからと言って、却下するほど説得力のない考えではない。むしろそれは逆で、越野の悪い勘ほど当てになることはないからだ。

 犯人を佐藤と断定した以上、次は彼を捕まえる為の方法を考えなければならない。それがこの事件の最大の難関なのだ。
 それは何故か――佐藤自身が被害者に手を下している訳ではないからだ。つまり、彼に網を張っていても、彼の決定的な証拠をつかむのは不可能に等しいのだ。
 そして、もう一つの要因が彼が犯人である事を立証させる事を難しくしている。それについてはすでに一度深く考えぬいてるので、ここでは保留しておこう。彼の不可解な行動や見えぬ動機などどうでもいい。そんなものは彼を犯人として縛り上げてから問い詰めればいいだけの話である。

 耕介の弁当は懐かしさ味だが、以前より美味しい気がする。やはり、年月により耕介の料理の腕もますます上がっているのだろう。


 ――美緒たちが羨ましいよ、まったく。


 さて問題は、彼の決定的な証拠を掴む為の方法だが……実は一つだけ思いついている方法がある。それは例の麻薬を餌に例の暴力団を家宅捜査することだ。これならば成功すればまず間違いなく佐藤を掴まえることができる――だが、これは諸刃の剣でもある。
 なんらかの原因で失敗した場合、二度と佐藤を立証する事は敵わなくなるどころか、令状なしに勝手に家宅捜査して何も出てきませんでした、では逆にボクが訴えられてしまう。


 ――ホントに……やっかいな事件だよ、まったく。


 何度もぼやきたくなるほどに、この事件は本当に厄介なのだ。
 ボクは緑茶の缶に口をつけ、それを口に含んだ。

 さて、考えなければならないことはまだある。家宅捜査以外の方法については後で考えることにして、手持ちのカードを一枚残して全て切り終えたその時、ボクの手元に佐藤の犯行を立証するための証拠が残っていなかった場合だ。そうなると必然的に最後の一枚を切らねばならなくなる。今のボクに残された唯一最後の切り札――言わばジョーカーだ。
 そして、その最後の一枚を切ったとしよう。


 ――よくよく考えてみると、やな考えばかりが頭に浮かぶ。嫌になるね……


 まだ弁当の残りがある事もかまわず、ボクは胸元からタバコを取り出し、それに火をつける。タバコでも吸わないとやっていられない気分なのだ。


 ――しかし、この事件に関わってからどうも喫煙のペースが早まった気がするね。ま、今更気にすることじゃないんだけどさ。


 改めて考えてみると、この切り札がそれ程確実な案とはとても思えなくなってきたのだ。
 その理由はたとえ麻薬を種に家宅捜査するとして、兵隊はどうするのか。今ある兵隊はボクというか弱い少女一人だけ……奴等は尻尾を掴まれたとしても、おそらくはボクの口を封じてくるだろう。いつもならそんな奴等は簡単にひねってやるんだが、今の能力を失った状態ではとてもそんな事はできない。
 ということは、もしもの時に備えて他の兵隊が必要になる。それも彼らに怪しまれずにすむように人数は必要最低限。いわゆる特殊部隊さながらの行動が可能な人物に限られるのだ。


 ――このまま違う案が思いつかなかったら、その線で協力者を見つけるしかないね……


 しかし、そんな協力者が一日二日で簡単に見つかるとも思えない。最終的には越野のツテで探してもらうか……フィリスに頼むか――ダメだね、それは。あの子をもう一度こんな世界に戻す訳にはいかないよ。

 タバコを灰皿に押し付け、壁にかかっている時計に目をやる。ボクに残された時間は後少ししかなかった。少し行儀が悪いとは思ったが、次の授業に間に合うように残った弁当をかけこむことにするのだった。










 昼休み明けの一発目の授業。ボクは3-Gの教室に来ていた。この時間はこのクラスでの授業だ。担任代理と言うこともあるが、ボクはこのクラスに一番愛着を持っていた。だから、このクラスでの授業は何時も朝から楽しみなのだ。
 その理由はこのクラスに二人の色男が居ることにも起因している。つまり、赤星くんと高町くんの事だ。全く違うタイプの色男なこの二人。クラス内での女子の人気は高町くんに関しては怖そうと言い、ほとんどが赤星くんにそれが集中している。
 それはそれで仕方のない事なのかもしれない。ボクから見ても彼はどこかミステリアスな雰囲気を感じる。


 ――だからこそ、彼に興味があるんだけどね。


 教科書の内容を口にしながら、ボクはそんな事を考えていた。
 ボクの思考の焦点である当人たちはと言うと、赤星くんの方はまじめにボクの授業を聞いてくれている。逆に高町は――窓の外に視線を巡らせていた。


 ――ボクの授業より大切な事があるのかい?


 心に抱いた不思議な感情に疑問を抱きつつ、授業に集中していない彼に対して、教師としてボクは注意をするのだった。


「そこの色男。私の授業より空を眺める方が楽しいのかい?」


 当然のように教室中を笑い声が支配し、笑われた当人は少し紅い顔を見せ、会釈をして謝って見せた。
 想像通りの彼の対応に、ボクは笑って彼の行動を許すことにした。


「Yes。次からは私に気づかれないようにしてくれよ」


 多少、教師らしからぬ答えだったのかもしれない。











 今日の最後の授業が無事終わり、ボクは生徒たちが賑やかに下校する三階の廊下を歩いていた。この廊下はグラウンド側に面しており、窓からは遠くまで見えるようになっている。
 職員室に帰るのにこの廊下を通る必要はないのだが……ガラでもないとは思うが、ここから見える夕方の風景が気に入っていた。


 ――ま、それを見つけたのは昨日偶然ここを通ったからなんだけどね。


 挨拶をしてきた女の子たちに挨拶を返し、ボクは昨日のように窓際に近づいた。
 窓から見える景色は学校の外の風景も当然ながら、下校していく生徒たちがグラウンドを横切る姿を確認することができた。
 彼らの姿を左から右にゆっくりと眺めていると、その中に見覚えのある姿が女の子と一緒に歩いていた。


 ――おや、高町くんじゃないか。隣に歩いているのは……確か月村さんだったかな。


 何を話しているのかは当然聞き取れないが、彼らはとても楽しそうに腕を組みながら歩いていた。


 ――確かに彼らは仲がいいとは思っていたが、そこまでいい仲だとは想像してなかったね。


 この事をフィアッセは知っているだろうか。彼女は彼に対してかなりの好意を抱いているはず。この事で彼女が必要以上に落ち込まねばいいのだが。
 しかし、そんなフィアッセを慰めるような役回りはボクの役どころではない。そういうのは我が妹であるフィリスの方が適任だ。

 彼らは校門までそうして歩くと、二人は離れ、一言二言話をした後、正反対の方向へと歩いていった。


 ――家の方向が違うのかな。


 高町くんの方はともかくとして、生徒たちの流れと全く別の方向へ歩いていく月村さんのことが少し気になった。
 彼女の向かう方向は駅だ。そんなに遠くから通っているのだろうか、そう思いボクは彼女の向かうとされる方向へと視線を延ばした。
 その時、凄い違和感がボクの体を襲った。


 ――なんだ……? 住宅街と不釣合いなあの黒いベンツは。


 遠目でも良くわかるその特徴的な形。そして窓ガラスがフルスモークで覆われている。
 ボクがその先を考えるより早く、月村さんはそのベンツの居る路地に入り――そして、黒い男たちが車の中から現れ、月村さんをあっという間に羽交い絞めにした。


「―――なっ!」


 男たちは月村さんの体を持ち上げ、ベンツに連れ込もうとしている。既に月村さんは気絶しているのか、ぐったりとしたままだった。
 無駄だとは思うがこのままじっと見てられない、と彼女を助けるため体を動かした時、その路地に新たな人物が現れた。
 ボクはその人物の姿を見た時、愕然として足を止めてしまった。


「高町くん!? 何でキミがそんなところに」


 そう。その場に先程反対方向に帰ったはずの高町恭也が佇んでいた。そしてボクは二度目の驚愕を彼から与えられるのだった。
 彼の姿が一瞬で掻き消えたかと思うと、次の瞬間には月村さんを乗せたベンツの背後に彼の姿が現れた。そして、彼は手を伸ばしたが一寸届かず、ベンツは走り去っていってしまった。
 ボクはその時不謹慎にも月村さんが攫われたという事実よりも、彼の驚異的な動きに目を丸くしていた。


 ――何なんだ彼は一体。もしかして彼は一級のファイターか何かなのか?


 彼の姿すら見えぬ瞬間移動。そのようなことができる人間が何人いようか。ボクは彼の動きに戦慄しつつ、彼に出会えたことを幸運に思っていた。彼が協力者となってくれれば、強制捜査も可能ではないのか、と。


 ――ボクは元々善人ではないのでね。少々クールに行かせてもらうよ。


 彼の呆然とした様子を見るに、少しばかりゆっくり向かっても間に合うだろう、そう思いボクは彼の元へ向かうことにした。











 彼の所へ向かうと、彼は先程と全く同じ格好でそこにたたずんでいた。彼の気持ちは考えない。考えればボクの心まで侵食されてしまう。だからボクは装う。クールに……冷たい仮面の下に素顔を隠して。


「――間に合わなかったか」


 ボクの声に少しビクリと体を震わせ、高町恭也は振り返りボクの方へ視線を向けた。その目にはとても生きている人間から感じられる生の鼓動が全くと言っていい程感じる事ができなかった。
 ボクは心の中で舌打ちし、彼に頼むべきことを残酷とは思いながら口にする事にした。


「槙原先生?」

「いや、すまない。まさかボクのクラスから犠牲者を出してしまうとは……これはボクの責任だ」

「いえ……気づけなかった俺の責任です。すぐ近くにいるのに……俺は月村を助けることができなかった」


 まるで彼の心の悲哀が口から零れ落ちているかのような、そんな錯覚をボクに感じさせた。ボクはその錯覚を振り払うように、今日何本目になるかわからないタバコに火をつけた。


「君が気に病むことはない。これは私の勘だがね。おそらく彼女を助けることはできる」


 それは半分嘘で、半分本当の事。


「――というと?」

「本来ならば部外者を巻き込むようなことはしたくないんだが……今の君の動きを見る限り、足手まといになることはなさそうだ。それに、今は協力者が欲しかったところでね……どうだい? ボクの手伝いをしてくれないか?」


 彼の疑問をスルーし、ボクは彼に依頼する。ボクは親友の幼馴染を危険な世界へと誘い込む。悪人に徹するのは、このボクのプライドを墓まで持っていくつもりだから。


「一晩、考えさせてもらってよろしいでしょうか?」


 高町恭也はボクの予想通りの返答を返してきた。当然見るからに怪しい誘いにいきなり乗ってくる訳がない。


「あぁ、気の済むまで考えてもらって構わないよ。ボクの素性はおそらく察しが付いているだろうから敢えて言うことはしない。ま、それも含めてYesと答えてくれればその時に教えるさ。じゃ、今日は気を付けて帰りな。ボクはもう少し仕事があるからね」


 ボクはそう彼に返すと、振り返り学校へ戻ることにした。
 おそらく彼はボクの依頼を承諾するだろう。先程のグラウンドでの彼の様子を見た限り、間違いない。
 彼に最後まで嘘をついていたことに心の中で詫びをいれ、ボクは学校の正門を通り抜けた。
 おそらくボクが通った跡にはタバコの煙が立ち昇っていることだろう。願わくば、これが彼女に対しての手向けの華とならんことを。











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――あとがき――

 リスティ視点第八話、いかがでしたでしょうか?
 新年開けて初めての更新は、少し遅れ気味でした。
 この駄文を少しでも楽しみにして下さった皆様には申し訳がないです。
 年始はかなりばたばたしていて、執筆に時間をかける余裕が余りありませんでした。
 これからも段々忙しくなっていくようで、できる限り暇な時間を作っていく事を頑張っていきたいと思います。
 では、皆様今年もよろしくお願いいたします。
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  1. 2006/01/19(木) 01:32:25|
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