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手のひらの中の奇跡 -リスティ視点 第十三話-

 ―4月14日―

 リスティ視点 第十三話












 本部長室の扉を勢いよく開く。目当ての人物である越野は突然入ってきたボクに顔色も変えずに自分の椅子に座っていた。


「騒々しいな。どうかしたか?」

「ボクが何でここに来たか、あんたなら言わなくてもわかってるだろ」


 越野は体を起こし、ゆっくりとした動作で指を組んだ。これから話される言葉を聞き逃すまい、とボクは集中した。


「夕方、お前に連絡を送ったろう? その少し前に佐藤が自首をしてきたんだ」

「そんな事はわかってる。何故ボクに言ってくれなかった?」

「言ったところで何も結果は変わらんだろう。違うか?」


 そう言われてみると、確かにそうである。月村さんの事があったのだ。彼にそれを伝えたとしても、ボクらはそれを確かめるために向かったはずだった。だとしたら、結果は何も変わらない。越野の言う通りだった。


「OK。それは納得した。で? あれから佐藤は何か話したかい?」


 そう問いかけると、越野は何時も以上に難しい顔になった。


「黙秘したままでな。何も話さず、困っているところだ。あいつが主犯であることは間違いない。容疑は変わらんが、このままでは一度解放せざるを得ない状況になるぞ」


 それは確かに問題だった。証拠を掴む為に家宅捜査に乗り出したのだ。しかし、その前に目的の人物が自首してきたのだ。これでは少し時間が空いてしまう。まさか、彼はそれを狙っている訳じゃないだろうが――


「このまま彼が何も話さなかったら、今度は大手を挙げて踏み込むことができるね」

「そうだ。二度手間は勘弁して欲しいところだがな」


 考えてみよう。もし、彼が時間稼ぎのために自首をしてきたとしたら、強制捜査までのわずか十数時間。この時間得る必要が彼にはあった訳だ。自首してまでその時間を稼いだという事は、彼の目的はその十数時間の時間を残して、全て完了していることになる。となれば、その十数時間で何ができるか、だ。彼がこの署内にいる以上、彼の手で行われることではない。とすると、部下――あるいは、共犯者がいるのではないだろうか。


「まぁ、考えにふける前に佐藤に会って来たらどうだ? お前となら何か話すかもしれん」


 無愛想なその言葉に意識を戻される。ボクはそれもそうだ、と考えた。


「まぁ、そうだね。会おうとは思ってたところだ。でも、ボクになら何か話すってのはどういうことだい?」

「――勘だな」

「まったく、この男は。それじゃ、行ってくるよ」


 肩をすくめ、佐藤の下へ向かうことにした。ノブを捻ると少し高い金属音が聞こえた。少しこの扉も痛んできたのだろう。
 部屋を出たところで、越野に彼の居場所を聞くことを忘れていたことに気がついた。戻って聞くべきかどうか考えたが、おそらく取調室にいるのだろう、と思い、取調室に向かうことにした。










 取調室の重い扉を開く。予想通り中は薄暗く、必要最低限のあかりしか灯されていなかった。中には刑事二人を相手にそしらぬ顔で座っている佐藤がいた。刑事二人が振り向いた。顔を見ると何度か話した事のある今年新しく署に来た男二人だった。


「どうだい? 何か聞き出せたかい?」


 ボクの言葉に男二人は頼りない顔で首を数度横に振った。上は何を考えているのか。彼らだけにここを任せて大丈夫なのだろうか。時間が無駄に浪費されるだけと思う。それとも経験を積ませているのだろうか。それなら、一人ベテランがついた方がいいと思うのだが。


「後はボクに任せてくれないか? 君たちは少し下がっててくれ」


 これでは埒があかないと考え、ボクが自ら聞きだすことにした。もし相手がベテラン刑事だとしてもそうしたろうが、そういう意味では彼らが若手で助かった。余計な手間が増えなくて済んだからだ。
 若手刑事二人はわかりました、と答え、取調室を出て行った。別に出て行かなくても良かったのだが、この場を関係者とは言え、刑事でないボクと容疑者だけにするのは責任問題だろう。


「佐藤くん。久しぶりだな」


 ボクのその声に、彼は目を開くことで答えた。彼は校内で会った時と雰囲気がまるで違っていた。彼の姿からは陰鬱な雰囲気しか感じ取る事はできなかった。ボクの驚く様を見て、彼は薄く口元だけで笑みを浮かべた。


「学校で会った時と違うようだね。今の君が本当の君かい?」

「――そうですね。学校での俺は風芽丘生徒会長と言う役でしたから。その役を失った今の俺はこの事件の容疑者という役ですよ」


 彼の言葉を考える。学校でのあの姿は演じていただけ。という事は今も演じているだけなのだろうか。彼の言葉がわからない。わからないが――


「――そうか。そんな事はいい。単刀直入に聞くよ。何故こんなことしたんだい?」


 回り道など考えず、ストレートで彼に問いかけた。すると彼は先ほどまでの陰鬱な雰囲気から一変し、無邪気な笑顔を浮かべるのだった。


「いいですよ。お教えします。主役の出番は終わったのだから、僕の物語はエンドロールに入らなきゃ。先生――いや、リスティさんは聞いたことがありませんか? 僕はね、ある実験に参加してたんですよ」

「――実験?」


 彼の口からこの場に似つかわしくない言葉が出てきた。彼はボクがそう聞き返すと、なおも無邪気に笑い出した。


「ハハ、そうです。実験ですよ。聞いたことありますよね? HGSを軍事投入するためのプロジェクトを。僕はそのプロジェクトに参加していたんですよ」


 体内の血が逆流したかのように感じた。ボクら三姉妹――いや、ボクが被験体となったあの地獄のような日々が脳裏に浮かんだ。まさか、あのプロジェクトが今でも続いていたというのか。
 自然と握り込んでいた拳に痛みを感じ、それをゆっくりと開いた。


「ま、結論から言えば失敗だったんですけどね。このプロジェクトは。そういう意味もあって、これ以上僕が行動する意味が無くなったので、こうして自首してきた訳です」

「プロジェクトは……今回お前たちのプロジェクトとは一体どういったものなんだ?」


 何時もより荒げた声で問いかけた。佐藤はそれを意にも返さず、先ほどから変わらぬ笑顔で答えた。


「スリップノットって知ってますよねぇ?」

「知っている」

「ハハ、当然か。だって、ボクが警察に教えるために現場に置いたんだし、あのチンピラに名前を教えたんだから」


 笑顔でそう言う佐藤の姿を見て、ボクは背筋が寒くなるのを感じた。おそらくは……この男は狂っているのだ。でなければ、説明のつかないことが多すぎる。


「で、続きだね。スリップノットは失敗作だったんだ。本来の効力を発揮させることはできなかった。本来の効力とはね――」


 彼は右手で目にかかっている前髪をかきあげた。


「一般人をHGSにするための薬なのさ」

「なっ!?」


 確かにボクたちを軍事利用するためには頭数が足りないのが事実だ。頭数をそろえるためにそういう事を考えようとする輩がいるのも理解はできる。だがしかし、それを指揮していたのがただの学生ということにボクは驚いていた。この男は一体どこまで物事を計画してきたのだろうか。それが恐ろしくなったのだ。


「ほら、驚いた。やっぱりねぇ、僕の思った通りだったよ。でも、安心してね? スリップノットは失敗作だったんだから」


 プロジェクトが成功する前にこうして終わらせることができたのが幸いだった。有史以来人類は様々な面で進化を続けてきた。いずれそれを成功させる時が来るかもしれない。それを少しでも遅らせることができたことに、ボクはほっとしていた。


「あ、リスティさん、安心した顔してる。まぁ、そうだよね。スリップノットは失敗作だったんだから」

「Yes。確かに安心してるよ。君たちの計画が失敗に終わったことをね」

「あれ? 計画が失敗したなんて、一言も言ってないと思うけど?」

「――ッ!?」


 そうだ。何を安心してたんだ、ボクは。さっきまで自首は時間稼ぎの可能性がある、と考えていただろう。この馬鹿。


「さっすが、リスティさん。今の言葉で察したみたいだね。そう、その通り。まだ僕らのプロジェクトは終わってない。僕の役割は被験体の捕獲と、スリップノットのテスト。後残された役割は、最後の被験体を大陸に送り届けることだ。まだまだ研究の余地があるからねぇ」


 最後の被験体。その言葉にボクはピンと来るものがあった。そういえば、インターフォン越しに話した男は解放した女の名前を知らない風ではなかったか?


「そう。最後の被験体――月村忍を大陸に送ることで俺たちのプロジェクトは終了する。俺がここにこうして自首してきたのは、その時間を稼ぐための時間稼ぎさ」

「彼女をどこから大陸に輸送するつもりだ!? 答えろ!」


 ボクは彼の胸倉を掴み、大きく揺さぶった。何時の間にか彼の顔は笑顔ではなく、ここに来た時と同じ陰鬱な雰囲気が漂っていた。


「俺が答えると思ってる?」

「ボクを舐めるなよ? ボクはHGSだ。幾らでも聞き出す手段はある」


 そういうと、佐藤は無邪気な笑顔を浮かべるのだった。


「確か、リスティさんって今HGSの能力が封印されてるんじゃなかったっけ? まぁ、いいや。そろそろその効果も無くなるだろうし、黙ってても確かに意味ないね」

「効果が無くなる?」


 それは一体どういうことか。それより、何故佐藤がHGSの能力が封印されていることを知っているのか。


「そんなことはどうだっていいよ。月村さんが心配なんだろ? 学校に行ってみてよ。もうあんまり時間ないだろうけど、そこからヘリで港まで飛んで船で輸送することになってる。急いだ方がいいよ」


 考えるべきことが多すぎる。それが彼との会話が終わって最初に思ったことだった。












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 ――あとがき――
 リスティ視点第13話、如何でしたでしょうか?
 恭也編、リスティ編ともに残り1話となりました。
 ぜひ、ラストまでお付き合いください。
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  1. 2007/02/16(金) 00:52:38|
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霧城昂

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