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Blue Moon 第6話

 奴は本当に警戒すべき人間なのか。
 そんな事を最近――いや、昨日辺りからよく考える。奴への警戒を緩めた所で、家族への危害が及べば、それは目も当てられない事となろう。しかし、これが俺の勘違いならば、あいつに対していくら謝罪しても足りない程だ。

 俺自身の思考は奴を警戒すべきだと言っている。
 俺自身の本能は奴は信頼に値する人間だと言っている。

 そんな事を考えながらふと目を開けると、もう夜が明けている事がわかる。訓練の時間までもう一刻となかろう。体を起こすとまるで悪い夢でも見たかのように、体中が汗ばんでいることがわかる。溜息を一つつくと、俺は顔を洗う為に洗面所へと向う事にした。

 障子を開けると、緩やかなかぜが部屋に吹き込んできた。汗ばんだ体がとても涼しく感じられた。俺はその事実に薄く笑うと、最初の目的を思い出し、洗面所へと向かった。

 まぁ、奴への対応はひとまず保留だ。誤解だとしたら目も当てられないし、何より家族がそれを許さないだろう。そんな事を考えながら、俺は蛇口をひねった。
 そこで思考を切り、水をすくい、顔を洗った。その冷たい水が嫌でも気をひきしめさせた。
 大丈夫だ。そう考え、俺は蛇口をゆっくりと締めた。










Blue Moon 第6話










「恭ちゃん、準備できた?」


 美由希が俺の部屋をのぞきこみながら言った。着替え中だとしたらどうするつもりだったのだ。そんな些末な事を考えながら、俺は頷いた。
 じゃあ、学校行こっか、美由希はそういいながら、玄関へと向かった。何ともうれしそうな顔をしながらである。そんなに一緒に登校できることが楽しいのであろうか。俺はそんな考えに一度首を振り、鞄を持つと美由希の待つ玄関へ向かうことにした。

 美由希と再び登校できるようになって、もう半年も経つ。その間色々な事があったのだが、概ね前と変わっていない。今も昔も、美由希は愛すべき妹であり、大切な愛弟子なのだ。この事をこれから先も美由希に伝えるつもりはない。


「恭ちゃん、忘れ物はない?」

「お前こそどうなんだ?」


 俺の言葉に顔を伏せて思案する美由希。すると、突然何かを思い出したかのように顔を上げ、物凄い勢いで家の中へ駆け込んでいく。
 その行動に軽い頭痛を覚えたのは決して気のせいでなかろう。

 そしてしばらくすると、美由希が戻ってきた。何を忘れたのかと問うてみると。


「あ、いや。大した物じゃないよ。ただ、体操服を忘れちゃって……」


 やれやれ、そう言いながら溜息をつき、そのまま美由希をおいて走り出した。そろそろ走らないとまずい時間だからだ。


「あ、ちょっと。恭ちゃん、待ってよ~」


 情けない声を上げながら慌ててついてくる。速度を緩めてやろうとも思ったが、甘やかすのもどうかと思い、そのままの速度を保ち続けた。

 何時もの登校コース――いくつか信号無視をしつつ――を走り続けていると、やがて風校の校舎が見えてきた。ここまで来れば、もう走らなくても間に合うだろうと思い、速度を緩め歩き出した。
 少しして、美由希も追いついてきた。


「はぁはぁ……もう、恭ちゃん。いきなり走るなんて酷いよ」


 美由希は少し息が切れているようだ。その姿に少しうれしく思う。この距離を、あの速度で走り続けて、この程度の息の切れ方だとすると、ちゃんとこれまで訓練をしてきている証拠だ。


「走らないと少しまずい時間だったのでな」

「まぁ、いいけど。ふぅ……」


 美由希は胸に手を当て、息を整えているようだ。


「それよりさ、恭ちゃん?」


 少し顔を覗き込むように話しかけてきた。少し嫌な予感がしたので、顔をしかめると。


「安田さん……だっけ。どんな人なの? 何か昨日の恭ちゃん、あまりその人の事を効かれたくなさそうだったから、今聞いてみるけど」

「それがわかっているのなら、何故聞く」


 当たり前の質問に当たり前の答えで問い返す。すると予想とは違う心配そうな顔をしながら、悩んでるみたいだったから、と美由希は答えた。
 続けて、恭ちゃんはもっと私たちに相談とかするべきだよ、と少し怒ったような口調で俺に説教をしてくる。その言葉に少しうれしくもあったが、美由希に優位に立たれたままというのは面白くないので、いつものセリフを言うことにしよう。


「十年早い」

「あう……」


 そんな問答をしていると、後ろから誰かが走ってくる気配を感じる。後ろを振り返ると、特徴のある髪型をした男が走ってくる。この学校では珍しく、つんつんと逆立った黒髪で、昨日はしていなかった派手なピアスをつけた男――安田だ。

 安田はこちらに気づいたらしく、鞄を持っていない方の手を振りながら近づいてくる。お互いの顔がちゃんと確認できる距離までくると、少し驚いたような顔をしたものの、そのまま普通に話せる距離まで来た所で立ち止まった。


「よう、高町。まいどまいど」


 安田のまるでTVドラマに出てくるような八百屋の主人のような挨拶に、少し苦笑しながら頷き返した。すると、安田はにやにやした顔になると、俺と美由希を見比べて。



「おいおい、高町さん。女連れで登校ですか? こら、かなんなぁ……」


 安田は頭を押さえながら、大げさな反応を示す。どうやら、かなりの誤解をしているようだ。少し溜息をつきながら横を見ると、美由希が少し顔を伏せていた。一人で勝手に盛り上がっている安田を無視し、美由希の顔を覗き込むようにして見た。すると、美由希の顔が少し紅くなっていた。それも、覗き込んでいる俺の姿に気がつかない程に。

 やれやれ、考え物だな。どうして俺の周りには、こういう事に無頓着な奴らばかりなのだろうか。そんな事を考えていると、そんな場合でない事を思い出し、未だ一人で盛り上がっている安田の誤解を解く事にした。


「何を誤解している。そこで固まっているのは、俺の妹だ」

「へ? ん……?」


 安田が固まったままの美由希を見回した。すると、少し首をかしげた後、俺に向き直り。


「そかそか、すまんな」


 そういって素直に頭を下げた。その行為に俺は強い好感を持った。警戒すべき相手なのかも知れぬが、その時は本当にどうでもいい事だと思えた。そんな事を経験したのは本当に久しぶりのことだった。だからこそ、俺は――いや、話を戻そう。そのように朝っぱらから賑やかな問答をしているうちに、俺はとても重要な事に気がついた。


「朝から騒がしいのは結構だが、そろそろ時間だ」


 俺はそういいながら美由希の頭を小突いた後、学校に向かって駆け出した。それと同時に辺りに響く予鈴の音。その音が俺の体を後押しするかのように俺を加速させる。


「おい高町!! 妹さん放っておいてええんかいや!! あぁ、もう。ほら、予鈴なってるで!!」


 そんな安田の声が後ろから聞こえる。察するに美由希はまだ正気に戻っていないようだ。安田が話しかけるのなら、あまり効果がないと思ったが、そんな事は関係ない。俺は遅刻をして、これ以上悪印象を与えるわけにはいかないのだ。今度こそ本当に留年しかねないからだ。

 そのまま走り続けていくと、やがて校門が見えてきた。周りには俺と同じように滑り込みセーフを狙う遅刻常習者たちが幾人かいた。それを横目に留めながら、校門をくぐりぬけた。教室へのアプローチは色々あるが、最短距離で教室を目指す為にグラウンドを大きく横切ることにした。すでに体操服を来た人たち――見たところ下級生の生徒――がたくさん視界に入った。彼らの邪魔になるかもしれぬが、彼らの横を走り抜けていき、校舎にたどり着く事ができた。急いで靴を履き替え、階段を二段飛ばしで駆け上がる。途中人とぶつかりそうにもなったが、何とか授業前に教室にたどり着いた。授業開始一分前だ。その事実に安堵していると、赤星がそんな俺に近づいてきた。


「高町、ギリギリじゃないか。どうしたんだ?」


 男の俺が見てもそう思う、爽やかな笑顔でそう言った。そんな赤星に授業前ギリギリのこの時間に心配をさせても困るので、当たり障りのない返事をすることにした。


「出るのは早かったのだが、途中色々なアクシデントがあってな、気にするな……」

「そ、そうか……」


 俺の言葉に何か感じるものがあったのか、赤星はそう言うとそれ以上何も言ってこなかった。世間で言う友達付き合いというものが俺たちの間にはあまり存在していないが、こういった関係というのも悪くないと思うし、何より気に入っているのだ。


「おっと、それじゃ授業始まるからまた後でな」


 赤星の言葉に俺は一言頷いた。赤星はそれを確認してから自分の席へと向かった。俺も自分の席に向かうことにした。そして着くと同時に、本鈴の音が校舎一体に鳴り響いた。

 さて、今日も一日が始まるぞ、そう思いながら窓の外に顔を向けると、そこには青く広がる空と白く漂う雲があった。そしてそれは今も昔も変わらぬ世界の摂理。どうか、今日も変わらぬ一日となれ――俺は目を閉じ、変わらぬ平和を思い描いた。
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  1. 2005/05/18(水) 03:35:30|
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