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Blue Moon 第7話

「そして、ここにある楕円の方程式だが、この点Pの座標を(x, y)とすると――」


 ぼんやりとした頭に催眠術のような言葉が延々と流れ込んでくる。一言一言が俺に眠れといっているかのように。眠気に従い身を委ねてしまうのが一番楽で効率がいい、という事も知っている。現に、今までの学園生活のほとんどの授業で実践してきた俺だ。この持論には絶対的な自信を持っている。だが、今はそうする訳にもいかなかった。


「a 2 { ( x-f ) 2 + y 2 }より、a 2 ( a 2 - f 2 )となる訳だから――」


 それは何故か。答えは簡単な事だ。そうする訳にもいかなくなったからだ。特別担任から何かを言われた訳ではない。担任もその事については諦めているのであろう。

 それはどういう事か。簡単な事だ。単に授業態度の問題だ。仮にも俺は受験生だ。受験生ならば受験生らしくしておかねばならぬだろう。周りの奴らに変に迷惑を与える訳にもいかない。

 本当にそれだけか。至極、最もな質問だ。個人的にはそれは建前――実際はある程度思っている事だが――で、ただ単に授業態度の問題でこれ以上点数を引かれるのが不都合なだけだ。決して、そうはならないと思うんだが、万に一つ授業態度が問題で留年でもしたらどうなるか。答えは簡単だ。周りの奴らにどれ程馬鹿にされるか。俺個人の学歴がどうとか言う事は余り関心が無い。ただ、俺が今まで積み上げてきたそれなりの信頼感と言うものが、それにより瓦解しそうで怖いのだ。

 そして、隣の席に目をやると月村はすでに就寝中のようだ。理系の授業はいつも起きているはずなのだが、今日に限っては完全に眠っている。また徹夜でゲームでもやっていたのだろうか。月村の成績は俺のそれとは比べ物にならない。だからこそ、この時期に平然と眠っていられるのだろう。肝の据わっている奴だ。かく言う俺もこれまでずっと眠ってきた訳であるから、人の事はいえない立場であるのだが。


「b 2 + f 2 = a 2 の関係より、これがこうなって……このように、楕円の方程式が定義されると言う訳だ」


 しかし、これは気を抜けばあっという間に眠ってしまうな。先が思いやられる――そんな事を考えていると、教室の外――おそらくこの気配は階段であろうか――で誰かが走っている気配が感じられた。この気配の張本人の顔が頭に浮かび、少し苦笑した。時計を見ると、針が10時を少し過ぎた辺りを指していた。こんな時間まで美由希の世話をしてくれていたのだろうか。だとすれば、昼飯くらい奢ってやらねばならないな。

 丁度その時、教室の後ろの扉が開かれる気配を感じた。そちらに視線を送ると申し訳程度に開かれた扉から安田の顔が覗いていた。しばらくそのまま視線を送っていると、安田と視線が噛み合った。すると、安田は少し怒ったような顔をした後、まるで子供がしかられた後のような無邪気な笑顔をしてみせた。そして、ゆっくりと扉を開けていく。その行為の末路が読めた俺はせめてもの慈悲と思い、視線を安田から外し窓の外に向けて安田の無事を祈った。この後、安田がどうなったかは言う必要もなかろう。










Blue Moon 第7話










 1時間目の授業が終わり、溜まった疲れを吐き出すように背を伸ばしていると、安田が話しかけてきた。


「高町、今朝はすまんのぉ」


 安田の意外な言葉に思い当たる節もない俺は、何の話だ、と問い返した。すると、安田は少し苦笑しながら頭をかき始めた。


「いや、今朝の妹さんの事や。変な勘違いで迷惑かけてもうたな、ってな」


 あぁ、その事か。大した事でもなかったのに一々謝るとは律儀な奴だ。
 俺も気にしていないから気にするな、そう安田に伝えると先ほどと同じような笑顔を返してきた。
 そして、安田の手元を見るとかちゃりかちゃりと鍵をいじくりまわしている。きっと家の鍵であろう。

 そんな俺の視線を感じ取ったのか、あぁ、これは家の鍵やねん、何や手持ち無沙汰でなぁ、などと俺に鍵を見せながら言っている。それを見ていると、不意に少し前月村が鍵を家に忘れてきた出来事を思い出した。今思えばアレは家に泊まりたい為だけに嘘をついたのだろう。

 そんなつまらない事を思い出していると、赤星が教室に入ってくるのが見えた。トイレに行ってきたようで、ハンカチで手を拭いている。俺の視線に気づくと、ハンカチを後ろのポケットに入れ、机の間をすり抜けてこちらに近づいてくる。


「よう、高町、安田。おはよう」

「おう、おはようさん」

「うむ、おはよう」


 赤星の挨拶に、俺と安田は赤星の方を見て挨拶を返した。そして赤星は腕時計を確認し、俺の席の横に立った。


「どうだ? そろそろ学校に慣れたか?」

「せやなぁ、まだ転校してきて昨日今日やからな。慣れるまでもう少しかかると思うで」

「はは、そりゃそうだ」


 赤星は自分の失敗に少し笑いながらそれを認めた。


「それはそうと、月村はどないしたんや? えらい眠そうやけど」


 というか寝てるか、月村の方に目をやりながら安田がそう言った。その言葉に赤星と俺は目を合わし、少し苦笑した。月村は何時もこんな感じだぞ、そう安田に教えると、その事実にかなり驚いたのか、うそ、まじで、と大声で言った。

 その言葉が大きすぎたのか、月村が少し身をよじらせた。それに気づいた安田は、あ、しまった、と口を手で覆いながら小声で言う。時既に遅く、月村はゆっくりと身を起こした。とても眠そうな顔で目を擦っている。おはよう、と月村に話しかけると欠伸をしながら、おはよう、今何時、と返してきた。そんな月村に苦笑した赤星がその質問に答えた。


「昨日翠屋の帰りに買ったRPGやってたら止まらなくてさ、結局朝までやっちゃったよ」


 予想通りの月村の言葉に、やはり、と心の中で頷くと、意外なことに安田がその話に食いついた。


「え!? 昨日言うたらアレやろ? She lead to wide-scale bloodshedやろ?」

「うん、そうそう。もしかして、安田くんも買ったの?」

「勿論。アレは注目してたからなぁ。スタッフが物凄いしな」

「うんうん、そうだよね!」


 ゲームの話で盛り上がる二人。そんな二人を見た俺と赤星は再び目を合わせ苦笑した。まさか安田がゲームが好きだとは思ってもみなかった。俺がゲームに疎いせいもあるし、俺の周りの同年代の男――と言っても、赤星だけだが――にゲームが好きな奴が今までいなかったせいか、どうにも違和感を感じる。

 そんな事を考えていると、チャイムの音が学校中に鳴り響いた。その音を合図に教室中の人々が自分の席に着き始めた。赤星も例外ではなく、また後でな、と言うと自分の席に戻っていった。残る二人の方を見ると、最初から自分の席に座っていたせいか、未だにゲームの話で盛り上がっている。静かにするように、と言おうとも思ったが、次の教師がくれば自然と黙るだろうと考え、注意しないことにした。

 そして、次の授業の準備でもしようか、と鞄を見ると教科書が一切入ってなかった。机の中に持ってきた教科書を入れた事を思い出し、机を調べて見てもこの時間の教科書は出てこなかった。どこへ行ったのか、それを考えていると、昨日の夜少しでも予習しておこうか、と教科書を鞄から取り出した記憶を思い出した。慣れぬことをするものではないな。
 一気にやる気をなくした俺は、そのまま机に顔を伏せると、先ほどから感じていた眠気に身を委ねることにした。










「高町く~ん。お昼だよ、お昼。ご飯食べないの?」


 聞き覚えのある声が俺を眠りから呼び戻した。今は何時であろうか。俺はどの位眠っていたのだろうか。目を覚まさなければそれもわからない。とりあえず、俺は起きる事にした。

 目を開けると眩しい光に再び目を閉じる。眠りっぱなしでまだ目が慣れていないようだ。ゆっくりと光に馴染ませるように目を開けると、見慣れた顔が最初に飛び込んできた。一瞬誰か思い出せなかったが、どうやら月村のようだ。となると俺を起こしてくれたのも月村だろうか。そんな事を考えながらゆっくり体を起こした。


「やっと起きた、高町くん。お昼どうする? 私たちはパンにするつもりだけど」

「ん……そうだな。俺もそうしよう」

「そか、じゃ売店行こうよ」


 俺の返事に満足した顔をしながら月村は席を立った。財布を取り出し中身を確かめている。何を買おうか思案しているようだ。そこで俺は赤星と安田がいない事に気がつき、そのことを確かめて見ると、二人とも先に売店に行ってるよ、との事だった。時計を見ると昼休みはもう10分過ぎている。急いで行かねば良いパンを買うことができないだろう。その事に気づいた俺は席を立ち、売店へ急ぐことにした。

 教室を出た所で、歩きながら月村が何かを思い出したような顔をした。どうしたんだ、と月村に問うと、さっき晶が来て、レンちゃんや那美もパンらしいから、一緒に食べようって言ってたよ、と財布についているキーホルダーをいじくりながら言った。そんな事なら構わない、と了承した。

 そうこうしている内に売店に到着した。相変わらず人ごみの耐えない場所だ。さて何を買おうか、そんなことを思案している内に月村は既に購入しているようだった。俺も急がないとな、そんな事を思い、人ごみの中に身を投じた。目標地点に到達してみると、どうやらコロッケパンとカレーパンが幾らか売れ残っていたのがわかったので、時間もないしそれにすることにした。俺は財布から小銭を取り出すとコロッケパン2つとカレーパン1つを購入し、邪魔にならないように人ごみを抜けた。後ろを見ると、更に人ごみが増してかなり凄いことになっている。その様子に少し恐怖を覚えたのは気のせいではあるまい。

 月村を探す為に辺りを見回すと、自動販売機でジュースを買っているところのようだった。人の間を縫うようにして月村に近づくと、向こうも俺のことに気がついたようだ。


「高町くんも無事買えたみたいだね」


 月村の言葉に頷き返すと、再び財布から小銭を取り出し俺もジュースを買うことにした。小銭を投入し、どれにしようか選んでいると、突然月村が勝手にボタンを押した。ガコンと言う音と共に落ちてくる缶ジュース。否、コーンポタージュが。月村の手を見ると現にコーンポタージュのボタンを押している。その事実に少し呆然としていると、月村が自動販売機のボタンを押した手で俺の肩を叩いた。


「ほらほら、栄養たっぷりだよ♪」


 笑顔を向けてそう言っている月村。その笑顔が今の俺にはどうしようもない小悪魔に見えた。しばらく呆然とした後、溜息を一つつくと自動販売機からコーンポタージュの缶を取り出した。


「ん……高町くん、ごめんね。怒ってる?」


 何も言わない俺が怒っていると思ったのか、手を顔の前で合わして素直に謝ってくる。そんな姿を見れば怒れるはずもなく、缶を右手からパンの持っている左手と胸ではさむようにして持つと、空いた手で月村の頭に軽く乗せる。


「別に怒っている訳じゃない。だが、これからはやめるように」

「う、うん。ごめんね、高町くん♪」


 笑顔で謝ってくる月村が、まぁ可愛くないと言えば嘘になる。俺も男なのだ、こういう無防備な顔をされると自然と胸が高鳴る。それをごまかすかのように月村に乗せた手をどけ、そのままその手をポケットに入れる。そして、俺は何時も通り無愛想な声でこう言うのだ。


「む、それよりレンや晶たちはどこにいるんだ? 待ち合わせているのだろう」

「あぁ、そうそう。屋上で待ち合わせているから、早く行こ♪」


 月村はポケットに入れたままの俺の手を引っ張った。辺りには沢山人目があるのだが、今はそんなものは全く気にならなかった。自然と再び高鳴る胸。そんな俺に全く気づかず、月村は俺の手を引きながら屋上へと向かっている。胸が高鳴る訳に気づいた俺は少し苦笑し、そして思う。もう少し、せめて屋上に行くまではこのままで。










 屋上に到着すると、辺りには幾つか固まって昼食をとっているグループを確認できた。その中に俺たちのグループを探していると、先に向こうが見つけたらしく赤星が手を挙げて場所を教えてくれた。月村と俺は顔を一度あわせ頷くと、赤星たちのいる場所に向かった。

 見ると、安田、赤星、美由希、神咲さん、レン、晶の順に円を描くように腰かけていた。
 俺と月村は安田と晶の間に腰をかけた。


「高町も月村も、パン買えたか?」

「あぁ、なんとかな」

「せやったらええねんよ。いやな、さっきまでパン買えへんかったどうする? 言うててな。高町だけやったらまだしも、それに付きおうた月村まで買えへんかったら可哀想やろう、てな」


 少しおどけた声で安田がそう言った。確かに納得はするが、何ともいえない気分なのも確かだ。買ってきたコロッケパンを口に入れながらそんな事を考える。


「稔先輩も師匠と同じように授業中寝てたんでしょう?」

「あぁ、せやな。確かにワシも寝とったけどやな、ワシみたいな居眠りのプロとなると、授業が終わったかどうかは体が覚えとんねん。せやから昼休みと同時に、パッと起きれる訳や」


 どうやら既に紹介は済んでいるらしく、安田は皆と打ち解けているようだ。その事実に少し複雑な気分にはなるものの、うれしいことは確かだ。少し、パンがのどにつかえたのでコーンポタージュで流し込む。冷えたコーンポタージュというのは何とも……


「でもあれですよね。安田先輩って何かこう、赤星先輩とは別の意味でカッコいいですね」

「那美さん、もしかして安田先輩に」

「いやいや、ワシも罪つくりやのぉ。こんな可愛い子を落としてまうとはのぉ」

「いやいやいや、そ、そんなんじゃないんですよ。ただ、モテそうだな、と思って。ほ、本当なんですよぉ」


 そんな会話を聞きながら2個目のコロッケパンを口にする。うむ、少し湿っているが悪くない。


「でもアレですなぁ。安田さんの髪の毛って凄い立ってはるじゃないですか。何使てんのかなぁ、って気になりません?」

「あぁ、そうだね。大体想像つくけど、安田くん何使ってるの?」

「あぁ、これはな。ワックス使ってんねん。ハードワックス。これは昔からのポリシーでのぉ」


 安田の一言一言に笑顔を零す月村。その姿に自然と視線が向かう。いやいや、何をしているんだ俺は。そんな事を思いながら最後のカレーパンを口にする。


「安田と月村って何かこう、昔からの友人みたいに凄い仲いいよな」

「ん……そだね。高町くんの時もそうだったけど、何か気が合うんだよね」

「おうって、あかん。ちょっと用事あったの思い出したわ」


 そう言いながらパンを流し込む安田。用事が少し気になった俺は、安田に尋ねてみることにした。


「何か忘れ物か?」

「いや、ちゃうねんけど。知り合いに頼まれたことがあってのぉ。ちょっとすまんが先に失礼させてもらうわ。ほな、皆またな」


 最後のパンを流し込んだ後、安田は立ち上がり一度手を振った後、駆け出していった。


「どんな用事があるんでしょうかねぇ?」

「さぁ?なんだろうね」


 安田の突然の不思議な行動に一同はそろぞれ疑問を口にした。その後は必然的に安田の話になった。出会った時の話、翠屋の時の話。それらを月村が次々に話していく。話してばかりで食事の方は大丈夫なんだろうか。そんなことが気になった俺は付き村の手元を見た。見ると、最初よりパンが減ってるので食事の方は順調なのだろう。


「でもアレですなぁ。お師匠の目を盗んでシュークリーム食べたんはどういう事なんでしょう」

「そうだよね。恭ちゃんの死角を取るなんて大抵の腕じゃないよ。でも、そんな武術の達人には見えなかったし……」

「もしかして師匠が珍しく油断してたりとか」


 失礼なことを言う。少し憮然とし、晶を横目でにらむ。それに気づいた晶は少し慌てた顔をすると、手元の時計を見てわざとらしい声をあげた。


「あ! 俺も予定があるの忘れてた! みずのにノート返さないといけないんだった。という訳で、皆さん。お先失礼します」

「あぁ、せやなぁ。ウチもノート借りたまんまやったんやった。お猿と理由が一緒言うんは、心外ですがウチもお先失礼します」


 晶とレンが並んで屋上から出て行く。もう少し落ち着いて飯を食えないのか。俺は最後の一切れを口にし、コーンポタージュの残りを一気飲みした。


「高町、何でコーンポタージュなんて飲んでるんだ?」


 赤星の少しあきれた声に、色々あってな、と少し意味深な返し方をした。その言葉に月村以外は同情のこもった目で俺を見た。そんな目をされると、少し傷つくわけなのだが。

 そんな時横目で月村を見ると、手元を見ながら疑問のこもった顔をしていた。その姿が気になった俺は尋ねてみることにした。


「月村、どうしたんだ?」

「ん……別に大した事じゃないんだけどね。パンが1個足りないな、と思ってね」

「足りない?」

「うん、3個買ったはずなのに。1個足りないんだよ。私2個しか食べてないし」


 月村はそう言って、辺りを見回す。その姿に赤星が、1個落としたんじゃないのか、と言った。それに、ここに来た時はちゃんと3個あったんだけどな、と月村が疑問に満ちた顔で答えた。

 月村はしばらく探した後、まぁいいか、と言った。どうやら諦めたようだ。


「あぁ、みんな気にしないで。大した事じゃないし」

「ん? そう。良かったら俺の残りの1個あげようか?」

「別にいいよ赤星くん。それに私より赤星くんの方が沢山食べないといけないでしょ」


 それもそうか、と赤星は照れながら言った。その姿に美由希も神咲さんも笑っている。だが、俺は笑う気にはなれなかった。パンが1個足りない? それはあの時と同じ状況ではないのか。もしかしたら――そこまで考えたところで、俺は頭を振った。何を考えているのだ。それにパンが1個無くなった所で大した話ではない。月村が間違えているかもしれないのだ。おそらくそうに違いない。パンを盗った所で、何がどうなると言うのだ。馬鹿馬鹿しい。

 そんな考えに顔を伏せて没頭していると、周りの人たちが瞬く間に屋上から出て行く気配を感じた。何故か、と思っていると突然あることに気がついた。授業が始まってる時間ではないか。急いで戻らねば、と思い顔を上げると、自分の他に誰も屋上にいなかった。他はともかく、赤星まで俺を見捨てて戻ったのか。その事実に少し寂しさを感じたものの、そんな事を考えている場合でない事に気づき、足元のゴミをかき集め近くのゴミ箱に放り込んだ後、急いで教室に戻ることにした。

 屋上から出る前に、一度屋上を振り返った。そこにはすでに誰もおらず、ただ風だけが吹いていた。もうすぐ、ここに来る事も厳しくなる季節が来るのだろう。そんな事を考え、改めて屋上から立ち去った。
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  1. 2005/05/18(水) 03:36:09|
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